サブスクの良さはエンディングを迎えられること

「DMM GAMES遊び放題」というサブスクリプションモデルを始めたのもその流れですか。

そうです。サブスクリプションのすごいところは、選択からの解放だと思うんです。従来の課金モデルでは接触できなかったゲームやコンテンツに、サブスクだから出合える。映像や音楽に使う金額の平均単価がだいたい見えてきたので、ユーザーから月額料金をいただき、選択の制限を解放することで、消費された分を開発者に還元するというビジネスモデルに、すごく魅力を感じました。

 若い世代も我々も、新しいコンテンツに接触する機会がめちゃくちゃ増えるはずです。制作サイドが面白くて長く遊ばれるゲームを作れば、安定した収入を得られるという構図になると思うんですよね。

 遊び放題ではまず、過去作品のアーカイブから始めています。そこから、新しい独自コンテンツが生まれるという次のステップが必ず来ると思っています。過去作品については、日本のPCゲーム、特にアドベンチャーゲームには独特のカルチャーがあるので、そこから世界に広げて、新しいユーザーとマッチングしたい。

 今は、コーエーテクモゲームスの人気タイトル『信長の野望』や『三國志』なども含め、どんどんラインアップを増やし、オリジナルコンテンツを用意しているタイミングです。これから、どんどん大きくなりますよ。このように基盤となるビジネスが成長すれば、新規タイトルを作る開発予算もどんどん増えてきます。

 サブスクリプションの良さは、エンディングのあるゲームが作れることです。Free To Playは、ビジネスを継続させるためにゲームを終わらせないことが重要になります。そうなると、「作品」になりづらいですよね。

ラスベガスのようなショービジネス型「eスポーツ」を目指す

PUBGのeスポーツ大会「PUBG JAPAN SERIES(PJS)」の手ごたえはいかがでしたか。

観戦チケットが1分で完売したのですが、正直、世界市場との温度差を痛感しました。一方で、ファンビジネスとして成り立つ種はあることも感じました。トップチームにもファンが着実に付いてきてます。

 現在、1部リーグには16チームが出場しています。18年は、テストリーグ(αリーグ、βリーグ)を経て、本リーグ(season1)をスタートしました。2019年は3つの本リーグを実施する計画です。まだ正式ではありませんが、専用のeスポーツアリーナを用意して、開催しようかなと思っています。

「PUBG JAPAN SERIES」(PJS)の会場の様子
「PUBG JAPAN SERIES」(PJS)の会場の様子

世界との温度差というのは?

日本でまだまだ足りないのが、一般的なスポーツと同レベルのチーム経営者、コーチ、メンター、オーナーなどです。中国では、チームの経営者がeスポーツ用の施設を1棟、ぽんと建てて、選手の食事の管理まで全部対応する、ということをしています。日本では全く同じにとはいきませんが、別の切り口で進化するかもと期待しています。

 具体的には、選手を育てて移籍金で回収するという、サッカーチームのマネジメントのようなスキームが考えられます。日本には強い選手がいますから、そういう選手を育成して、海外リーグの強いチームに移籍させるモデルが、出口の1つになるのではないでしょうか。

 また、『PUBG』のようなバトルロイヤルシューター系のタイトルは、なかなか協賛社が付いてくれません。海外では金融系のナショナルクライアントがサポートしている例もありますが、日本ではまだ理解してもらいにくい。クライアントに「銃で撃ち合うゲームです」と説明すると、なかなか前向きになってはいただけないのが実情ですね。

 実際、『PUBG』のようなゲームがオリンピック種目に選ばれるとは思っていません。だから、ラスベガスでやるような、ショービジネス型のエンターテインメントに立脚することになると踏んでいます。

 18年の大会に『PUBG』を知らない起業家の友人を呼んだんですが、「会場に入ってきた時と出ていく時で、選手のかっこよさが全然違う」と口をそろえるんですよ。選手たちはアイドルやファッションモデルのような感じではない。でも強いので、かっこよく見えてくる(笑)。そういうふうにeスポーツのヒーローやヒロインが生まれてくるんじゃないかと考えています。

片岸憲一(かたぎし・けんいち)氏
DMM GAMES ホールディングス 代表取締役、合同会社DMM GAMES 最高経営責任者 社長。DMM.comに入社後、DVDレンタル店舗でのマネジメント業務、Web制作、営業、提携買収の対外交渉などを担当。その後、2011年にオンラインゲーム事業をスタートさせた。本人自身もかなりのゲーマーを自認する。

(写真/稲垣純也、写真提供/DMM GAMES)