ベンチャー企業のSparty(東京・渋谷)は2018年10月、展開する月額制シャンプーの商品製造の委託先が、製造免許の偽造で東京都から摘発され、サービス停止を余儀なくされた。倒産目前からの復活には、パーソナライズドシャンプーという新しい体験を評価した顧客からの支持があった。

5つの色や香り、界面活性剤や油の量でメニューが作られている
5つの色や香り、界面活性剤や油の量でメニューが作られている

 Spartyは顧客の頭皮の状態や髪質に合わせて、適切な調合のシャンプーを届ける月額6800円(税別)のパーソナライズドシャンプー「MEDULLA(メデュラ)」を18年5月から展開している。その調合の種類は実に100超。これを工場で製造仕分けて、送り届ける同社の事業は実現難度が極めて高い。さまざまなメーカーに委託を持ちかけたものの製造を断られ続け、ようやく見つけた事業者も免許の偽造で摘発された。高い商品体験価値を作るための壁を、Spartyはいかにして乗り越えたのだろうか。

 まず、サービスの仕組みを紹介しよう。サービス登録時に髪の長さ、頭皮の状態、髪の太さ、「つやつや」「まとまり」「さらさら」といったなりたい髪質など、7つの質問に回答してもらう。回答を進めていくことで分岐していき、たどりついた先が処方すべきシャンプーという、簡単に言えばあみだくじ方式で顧客に適したメニューが決まる。メニューは顧客に適した洗浄成分である界面活性剤、油の量、香りや色などの組み合わせで作られている。

7つの質問に回答することで、髪質に適したシャンプーが100種類超のメニューから選ばれる
7つの質問に回答することで、髪質に適したシャンプーが100種類超のメニューから選ばれる

 同社では髪に関わる因子を30個ほど選出したが、質問が多すぎると登録の手間から離脱してしまう恐れがあるため、まずは少数に絞った。他にもストレートパーマの有無、白髪染めの有無など、重要な項目はあるが、現時点ではあえて外している。

 このような仕組みでパーソナライズドシャンプーを実現しているが、それだけの種類のシャンプーを日本で発売するのは法制度上ハードルが高い。シャンプーは化粧品の一種に当たるため、取り扱うには「化粧品製造業許可」を得る必要がある。さらに、化粧品の品目ごとに「化粧品製造販売届書」を都道府県に提出して認可を得なければならない。Spartyは100種類以上のシャンプーすべてで認可を得ることでサービスを実現している。

 商品企画はSpartyが行うが、製造自体は化粧品のOEM(相手先ブランドによる生産)事業を手掛けるピュアハートキングス(東京・渋谷)に委託していた。ところが、東京都の調査で、同社の化粧品製造業許可が偽造であったことが発覚した。「メーカーから免許をPDFでもらっていたが、そのPDF自体が偽造されたものだった」(Spartyの深山陽介社長)。これを見抜くことは難しい。東京都からは共犯を疑われたが、「完全に寝耳に水」(深山氏)だった。

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