ストライプインターナショナルの月額制洋服レンタル「メチャカリ」の年間黒字が視野に入った。モノのサブスクリプションの草分け的な存在としてサービスを開始してから、3年超の月日を要した。撤退する企業も現れ始めたアパレルサブスクを収益化に結び付けるまでの紆余曲折から成功のポイントを学ぶ。
「広告宣伝費を除く、という条件付きではあるが2018年度は『メチャカリ』の年間黒字が視野に入った」
こう明かすのは、ストライプインターナショナルで洋服のサブスクリプションサービス「メチャカリ」を担当する、メチャカリ部長の澤田昌紀氏だ。サブスク事業の利点は積み上げ式で、会員の増加と共に安定して収益を得られる点にある。例え、ストライプが明日から広告宣伝を完全にストップしたとしても、会員が辞めない限りは安定的な収益が見込める。モノのサブスクの草分けであるメチャカリの収益水準が黒字に達したことは、サブスクという消費形態の日本定着に向けた大きな前進と言えよう。
メチャカリは15年9月に月額5800円(税別)で3枠までストライプが展開するブランドの最新作を借りられる、メーカー発の「アパレルレンタルサービス」として開始。スマートフォン向けアプリで、ストライプが展開するブランド商品の約1万点の中から、好きな洋服を選んで借りられる。借りた洋服を返却すれば、新しく他の洋服を借りられる。現在は月額7800円で4着まで借りられる「スタンダード」、同5着で月額9800円の「プレミアム」の3プランで提供している。
ファッションレンタルとしてサービスを開始したメチャカリは、17年にアイドルグループの欅坂46を採用したテレビCMの放映開始を機に、サービスの定義を大幅に刷新。「月額制ファッションという新消費形態を定着させるには、覚えやすい言葉を作って文化を醸成する必要がある」という、石川康晴社長のマーケティングアイデアの下、「ファッションもサブスクへ」というメッセージを打ち出し始めた。
放映当初、広告の費用対効果は悪かったものの、世の中に「サブスク」という言葉が浸透するにつれて改善。「ファッションのサブスクならメチャカリというブランド認知もあり、ディスプレー広告などで『洋服借り放題』とうたったとしても、警戒感はそれほどなくなりつつある」(澤田氏)ことが要因とみる。こうしたマーケティング戦略で着実に会員を増やし、有料会員数は1万2000人に達した。18年度は広告宣伝費を除けば、年間での黒字化が視野に入った。
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