商品にまつわるストーリーを伝えることで、SNSなどでの口コミにつなげ、商品の価値も高めていくというマーケティング手法がある。今回は、全自動コーヒーメーカーの開発ストーリーを伝えたプレゼン資料を紹介しよう。味を研究するためにコーヒーの第一人者を実際に訪ねたときのリアルな写真が見る人を引きつける。

コーヒー界のレジェンドとして知られる田口護氏が監修したツインバード工業の全自動コーヒーメーカー「CM-D457B」
コーヒー界のレジェンドとして知られる田口護氏が監修したツインバード工業の全自動コーヒーメーカー「CM-D457B」
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 新潟県の中央部に位置する燕三条エリアは、古くから工具や刃物など金物の町として知られる。同エリアに本社を構え、金属メッキ業を出発点として、現在は調理機器や照明機器などを製造する家電メーカーがツインバード工業だ。

 最近は、低速回転のDCモーターでやさしい風を生み出す扇風機や、前面にミラーガラスを採用した電子レンジなど、機能やデザイン性を高めたこだわりの製品を投入し、注目度が増している。

プレゼンの前半では金物の町として知られる燕三条エリアと、ツインバード工業のつながりを紹介している
プレゼンの前半では金物の町として知られる燕三条エリアと、ツインバード工業のつながりを紹介している
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 ツインバードブランドのヒット商品の1つが、2018年10月に発売した全自動コーヒーメーカー「CM-D457B」だ。今回は、この製品の発売に先立つ18年8月末に開催された報道向け発表会で使用されたプレゼンテーション資料を紹介する。

 ツインバードのコーヒーメーカー自体は30年ほど前からあり、3000~4000円台の商品から徐々に高機能な商品へと軸足を移してきた。商品開発部次長の岡田剛氏は「メカニカルな部分についてはノウハウがあり、そのときどきでベストな製品を作ってきた自負はあるが、『本当のコーヒーのおいしさ』については追求が足りていなかった」と明かす。

 ブルーボトルコーヒーをはじめとするサードウエーブコーヒーやコンビニ各社のカウンターコーヒーが注目され、豆をひいてドリップした本格的なコーヒーを求める家庭が増えつつあった。そんなとき、海外の協力工場へ出張する際、コーヒーの香りが漂う空港ラウンジで野水重明社長と雑談するなかで、「本当においしいコーヒーを入れられる全自動コーヒーメーカーを作ろうという話で盛り上がった」と岡田氏は振り返る。

ツインバード工業 商品開発部次長の岡田剛氏
ツインバード工業 商品開発部次長の岡田剛氏
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