プレゼンテーションでは「パワーポイント(PowerPoint)のスライドをめくる」のが当たり前だった。ところが昨今は、その常識を覆す手法が広がりつつある。話し手が動画に合わせて説明していく「ライブ動画プレゼン」だ。今回は、都市部の再開発で誕生した複合施設の事例を紹介する。

東京ポートシティ竹芝は、総面積約20万平方メートルの大型開発。オフィスタワーのメディア向け内覧会に当たっては、スライドの代わりに動画を採用したプレゼンテーションが行われた
東京ポートシティ竹芝は、総面積約20万平方メートルの大型開発。オフィスタワーのメディア向け内覧会に当たっては、スライドの代わりに動画を採用したプレゼンテーションが行われた

スライドを使わず動画でプレゼン、その理由は?

 東京五輪・パラリンピックの開催に向け、ここ数年にわたって都心部の再開発が進められてきた。2020年9月にオープンした東京ポートシティ竹芝も、そうしたプロジェクトの中で生まれた施設の1つ。40階建てのオフィスタワーと18階建てのレジデンスタワーで構成される同施設は、東急不動産と鹿島建設で設立した事業会社が約70年間の定期借地契約によって都有地を借り受け、開発したものだ。

 東京ポートシティ竹芝は、JR浜松町駅から旧芝離宮恩賜庭園に沿って徒歩数分のところにある。周囲には伊豆諸島行きの船が出る竹芝桟橋・竹芝客船ターミナルやアジュール竹芝などのホテルがあるものの、立地場所はもともと倉庫街で、一般の人にはややなじみが薄かった。そんな地域に活力を与えることが東京ポートシティ竹芝の役割だ。

プレゼンの動画では、地上16メートルの歩行者デッキがJR浜松町駅から東京ポートシティ竹芝へと延びていく様子をアニメーションで見せた
プレゼンの動画では、地上16メートルの歩行者デッキがJR浜松町駅から東京ポートシティ竹芝へと延びていく様子をアニメーションで見せた
東急不動産 都市事業ユニット 都市事業本部 ビル事業部 統括部長の根津登志之氏。東京ポートシティ竹芝の事業会社アルベログランデ代表も務める
東急不動産 都市事業ユニット 都市事業本部 ビル事業部 統括部長の根津登志之氏。東京ポートシティ竹芝の事業会社アルベログランデ代表も務める

 今回のプレゼンテーション資料は、オフィスタワー開業時のメディア向け内覧会で使われた動画。東急不動産 都市事業ユニット 都市事業本部 ビル事業部 統括部長の根津登志之氏は「単に『こういうビルを建てました』と説明するだけでなく、将来を含め、周辺の街づくりをいかに進めていくかを訴えたかった」と話す。

 「いわゆるショッピングモールのオープン時は、テレビなどのメディアに取り上げられることが多い。東京ポートシティ竹芝はオフィスビルを中心とした複合施設なので、プレゼン方法に知恵を絞った」と根津氏。

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