2020年7月、JR川崎駅から徒歩1分の場所にある商業施設「川崎ルフロン」に「カワスイ 川崎水族館」がオープンした。既存の商業施設に水族館が開業するのは日本では初めてのことだ。今回は、川崎ルフロンの大規模改装に際して水族館を提案したプレゼンテーション資料を取り上げる。

JR川崎駅前にある「カワスイ 川崎水族館」。AI(人工知能)によるリアルタイム映像解析技術を用いた水中カメラが、水槽内の魚を捉え、その解説をディスプレーに自動表示するなど、次世代の展示システムも
JR川崎駅前にある「カワスイ 川崎水族館」。AI(人工知能)によるリアルタイム映像解析技術を用いた水中カメラが、水槽内の魚を捉え、その解説をディスプレーに自動表示するなど、次世代の展示システムも

社内で共有されることを見越して企画書の要素を加味

 1988年3月に開業した川崎ルフロンは、出店していた百貨店が2018年に閉店となり、20年夏にかけて大規模な改装を実施した。9階と10階にはエンターテインメント施設を導入する計画が立てられた。

 その際に行われたコンペで水族館を提案したのが、アクア・ライブ・インベストメント(東京・千代田)だ。沖縄国際海洋博覧会の水族館をはじめ、サンシャイン国際水族館(現在はサンシャイン水族館)、鴨川シーワールドなかよし広場などさまざまな水族館プロジェクトに関わってきた坂野新也社長を中心とする水族館運営にまつわる管理会社である。今回は同社によるカワスイのプレゼンテーション資料を紹介しよう。

資料の冒頭では、坂野新也社長の思いを伝えている。文字の向こうに写真が透けて見えるなど、デザイン性の高さも注目
資料の冒頭では、坂野新也社長の思いを伝えている。文字の向こうに写真が透けて見えるなど、デザイン性の高さも注目

 資料全体を見渡してみると、写真が多く、デザインも美しい。その一方で、文字を多く書き込んだスライドも点在している。資料を作成したアクア・ライブ・インベストメント取締役の木原将貴氏は「経営コンサルタントとして分析するなら数字で示すが、今回は製品を売るときのパンフレットに近い形を目指した」と話す。

 コンペの後、川崎ルフロン側の管理会社はプレゼン資料を持ち帰り、同僚や上司と共有する。木原氏はプレゼンの場にいなかった人に対するアピールまで見越して資料を作成していた。この連載ではプレゼン資料は文字を少なくシンプルに、企画書は文字を多めにして詳しく説明することを推奨してきたが、木原氏が作成したプレゼン資料はその中間を狙ったものと言えるだろう。

アクア・ライブ・インベストメント取締役の木原 将貴氏(写真/花井智子)
アクア・ライブ・インベストメント取締役の木原 将貴氏(写真/花井智子)

 文字が多めのスライドには、坂野社長の水族館への思いを伝える狙いがあったと木原氏は言う。例えば、水族館のコンセプトを紹介するスライドだ。このスライドではカワスイの近くを流れる多摩川を例に挙げながら「地球の未来を考える時間を提供したい」とつづっている。プレゼンでは基本的に木原氏が説明を担当したが、要所要所では坂野氏が補足する形をとった。プレゼンの時間は1時間強だったという。

水族館のコンセプトを伝えるスライド。「地球の未来を考える時間を提供したい」といった来場者に対するメッセージを示している
水族館のコンセプトを伝えるスライド。「地球の未来を考える時間を提供したい」といった来場者に対するメッセージを示している
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