この連載では「プレゼンテーションの本質は言葉で伝えることであり、スライドに過剰な装飾はしないほうがいい」と伝えてきた。「デザインにこだわるな」という意味ではない。シンプルでありながらデザイン性の高いスライドも存在する。その代表例がフィリップス・ジャパン(東京・港)のプレゼン資料だ。
日本のメーカーは引き算の“ものづくり”が苦手だといわれる。いろいろな要望に応えて、あれこれと機能を付け足した結果、複雑で使いづらい製品が出来上がってしまうのだ。プレゼンテーション用の資料にも似たような傾向があり、詳細な説明がぎっしりと書かれたスライドをよく見かける。
これに対して外資系企業のプレゼン資料には、シンプルでデザインも秀逸なものが多い。今回は、フィリップス・ジャパンの製品発表会で使われた資料を取り上げる。製品は2020年5月下旬からオンラインで先行販売された「ソニッケアー ダイヤモンドクリーン 9000」という電動歯ブラシの新モデルだ。
「海外向けのプレゼン資料をベースに、日本の市場に向けた情報を加えて仕上げた」とフィリップス・ジャパン パーソナルヘルスオーラルヘルスケア ジュニアマーケティングマネージャーの佐々木栄美氏は話す。スライドの準備には1カ月ほどかかったそうだ。
本社がオランダのフィリップスは世界各国に現地法人を置いている。プレゼン資料のデザインについては共通のフォーマットを用意して統一感を持たせているという。厳密な色の定義や200ページに渡るブランドガイドラインも定めており「ロゴの位置や、フォント、使用できるアイコンも決まっている」(佐々木氏)というのだからデザイン面のクオリティが高いのもうなずける。
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