年間に1000を超える新製品が登場する清涼飲料水の市場は、各社がしのぎを削る激戦区だ。そんな過酷な市場で、発売から3カ月で1900万本とヒット商品になった「ファンタ プレミアグレープ」のプレゼン資料を紹介しよう。特に図解や写真の使い方にはうならされた。
フルーツ味の炭酸飲料と聞くと「ファンタ」を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。僕も子供の頃によく飲んでいた。事実、ファンタの中心購買層は10代の中高生だという。
ところが、日本コカ・コーラが2020年3月に発売した「ファンタ プレミアグレープ」のターゲット層は30代以上の“大人”。フルーツ味の炭酸飲料は若者向けという常識を覆す商品だ。
ファンタ プレミアグレープは収穫後24時間以内のブドウを使用し、果汁は13%と高濃度に設定。またボトルサイズは380ミリリットルと、従来の500ミリリットルよりも小さくすることで“プレミア感”を出している。炭酸飲料の成功の基準は「累計出荷本数1000万本」といわれるが、ファンタ プレミアグレープは発売から約3カ月で1900万本に到達したという。
今回は20年2月に開催された報道向け発表会のプレゼン資料を紹介しよう。前半に20年に投入する製品ラインナップの説明があり、その中で目玉商品とされていたのがファンタ プレミアグレープだった。
大人に売れる理由をデータで提示
発表会の概要を説明するスライドでは、コカ・コーラのイメージカラーである赤を強調している。しかし、ファンタ プレミアグレープを紹介するスライドでは、タイトル帯などの色を紫に変更して雰囲気を変えた。日本コカ・コーラのマーケティング本部炭酸カテゴリーフレーバー炭酸グループシニアマネージャー河野公紀氏は「大人のためのファンタとして素材にこだわっていることをビジュアル的に強調するため、背景をブドウ畑にするなど、落ち着きや上質さを感じさせるイメージを心掛けた」と説明する。
続くスライドでは、新製品紹介の資料では定番となっている「なぜこの製品が求められているのか」を示すデータを提示した。グラフを見ると、30~40代のフルーツ炭酸消費量が減っている。この状況を「看過できない」として、大人向けファンタの開発が始まったのだという。
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