ラベルライター「テプラ」などの電子文具で知られるキングジムは、オフィス用品のメーカーだ。同社が2020年4月に立ち上げたシニア向け新ブランド「arema(アレマ)」は、キングジムとしては初めてブランド主導の商品開発プロジェクトだという。企画会議で使われたプレゼン資料を取り上げる。

キングジムの新ブランド「arema」はアクティブシニアがターゲット。同社としては初となったブランド主導の商品開発プロジェクトだ
キングジムの新ブランド「arema」はアクティブシニアがターゲット。同社としては初となったブランド主導の商品開発プロジェクトだ

 キングジムの主力商品は、1964年発売の書類管理用ファイルだ。背表紙に付いた赤黄緑などの四角いマークに見覚えがある人は多いだろう。88年発売のラベルライター「テプラ」も人気商品となった。とはいえ、社会のデジタル化が進む中、ファイルやラベルライターの市場は縮小しつつある。そこでキングジムはデジタルメモ「ポメラ」や手書きメモをスマートフォンに残せる「ショットノート」といった新機軸の製品を投入してきた。

 そのキングジムが、さらなる市場開拓のためにシニア向けにターゲットを絞った新ブランドが「アレマ」だ。「キングジムのユーザーは年齢層が高くなっている。70~80代のユーザーも多い」と話すのは、キングジム開発本部電子文具開発部デジタルプロダクツ課リーダーの東山慎司氏。

キングジム開発本部電子文具開発部デジタルプロダクツ課リーダーの東山慎司氏
キングジム開発本部電子文具開発部デジタルプロダクツ課リーダーの東山慎司氏

 これまでキングジムではシニア市場を狙った製品は発売していない。まずブランドありきで商品展開を進めることも同社として初めてだという。従来は「まず斬新な商品を生み出すのが先」という発想だった。テプラやポメラも商品がヒットしてからブランドとして認知されていった。

 実はアレマブランドの第1弾として発売した「集音器」や「自分まとめファイル」も、元はといえば個別の商品として開発していた。しかし、新たな市場を切り開くためには、これまでとは違った発想が求められる。そこで、ブランディング主導の新プロジェクトの開発に取り組むことになったわけだ。

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