昔から使われている日用品でも、画期的な機能を加えたり使い勝手を改善したりすることで、市場を劇的に活性化する商品に生まれ変わることがある。大日本除虫菊(金鳥、大阪市)の「ゴキブリムエンダー」もその1つ。この商品の付加価値とターゲット層をデータで伝えたプレゼン資料を紹介する。

煙を出さないゴキブリ駆除剤として大ヒットしているゴキブリムエンダー。プレゼン資料では、この製品がどんな層をターゲットにしているか、どこを訴求すべきかを販売部門に明確な数値で示した
煙を出さないゴキブリ駆除剤として大ヒットしているゴキブリムエンダー。プレゼン資料では、この製品がどんな層をターゲットにしているか、どこを訴求すべきかを販売部門に明確な数値で示した

 金鳥が2020年2月に発売した「ゴキブリムエンダー」は、スプレータイプのゴキブリ駆除剤だ。とはいえゴキブリに直接噴射するのではなく、部屋の空間に数回噴射する。殺虫成分を含む煙や霧を室内に充満させるくん煙剤と違い、使用前に食器類や液晶テレビをビニールなどでカバーするといった準備がいらないのが特徴だ。

 ゴキブリムエンダーは、こうした手軽さで販売数を伸ばしており、当初の出荷計画に対して200%以上で推移するヒット商品に。20年5月には、くん煙剤カテゴリーで販売額シェア1位を獲得している。

 今回紹介するのは、金鳥のマーケティング部門が販売部門を相手に新商品について説明したときのプレゼンテーション資料だ。資料の作成に取りかかったのは19年9月。「市場拡大を目指す大型商品として育てようと力を入れた。そのため、資料作成も従来と比べて2カ月早く取りかかった」と同社マーケティング部 課長の奥平亮太氏は話す。

大日本除虫菊マーケティング部 課長の奥平亮太氏
大日本除虫菊マーケティング部 課長の奥平亮太氏

スライドの中で市場拡大への決意を示す

 奥平氏の意気込みが分かるスライドが資料の前半にある。「市場拡大にイノベーションは不可欠」とタイトルが付いた殺虫剤市場のグラフだ。これを見ると、16年をピークに殺虫剤市場が縮小傾向にあることが分かる。それでも07年以前と同水準を維持しているのは「07年に発売した空間用虫よけ剤『虫コナーズ』のヒットがあったから」と奥平氏。空間用虫よけ剤を除く殺虫剤市場の規模は07年を下回っているのだ。

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