プレゼン資料が使われるのは、新製品や新サービスを発表する「晴れ舞台」だけではない。社内で地道な議論を深めるためのツールでもあるのだ。今回は、あまり表に出てくることのない内部資料を紹介する。ダイキン工業が進めるアイデア商品創出プロジェクトのスライドだ。
「Carrime(キャリミー)」という製品をご存じだろうか。高さ40センチメートルの箱形のエアコンで、重量約6キログラムと手軽に持ち運べることをセールスポイントにしている製品だ。室外機もセットになっており、前面から冷風を出し、背面から排熱する。夏のベランダで⼣涼みをしたり、室内の一部だけで涼しく過ごような用途を想定している。
キャリミーは、ダイキン工業が2019年11~12月にクラウドファンディングサイト「Makuake」に出品した製品で、目標額の160%に当たる約2300万円を集めた。出荷開始は20年6月ごろの予定だ。
ダイキン工業は、家庭用に加えて業務用のエアコン市場でも強く、空調事業の売上高は2兆円超と世界トップクラス。そんな同社がさらなる成長を目指して立ち上げたのが、アイデア商品創出プロジェクト「DAIKIN LAUNCH X(ダイキン・ローンチ・エックス)」だ。これは、営業の現場で耳にした製品に対する感想、問い合わせ窓口に上がってきた意見など、顧客のさまざまな声を取り入れた新しい製品開発の仕組みを作ろうというもの。開発途中のキャリミーをクラウドファンディングで公開したことも、その延長線上にある。
プロジェクトは17年冬に全国の空調営業部門6000人のアイデアを集めることから始まった。プロジェクトとして正式に立ち上がったのが18年5月。「いろいろな部隊を巻き込んでチームを作った」と振り返るのは、そのメンバーの1人、ダイキン工業の空調営業本部 事業戦略室 アイデア商品創出プロジェクトの野口愛子氏だ。
アイデア商品創出プロジェクトは、商品そのものを作るのではなく、新しい商品を開発・提供する仕組みを作るためのもの。その取り組みはキャリミーのクラウドファンディング開始と同時期に始まった特設サイトにまとめられている。
今回紹介するのは、プロジェクトを進めるに当たって社内の議論に使われた資料だ。残念ながら紹介できるのは一部だけとなるが、議論の過程をどのように資料に落とし込んでいったのか見ていこう。
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