ヒット商品の陰には、その魅力を社内外の人に伝えたプレゼンテーション資料がある。ビタミン、ミネラルなど、1日に必要な栄養素が含まれる日清食品「All-inシリーズ」のプレゼン資料もその1つ。今回は、限られた時間で社長を説得し、商品化にこぎつけたプレゼン資料を紹介する。

日清食品の「All-in」シリーズ。写真のパスタのほかに「まぜそば」も販売している
日清食品の「All-in」シリーズ。写真のパスタのほかに「まぜそば」も販売している

1枚のスライドで社長の目を引き付ける

 2017年の初頭。日清食品マーケティング部ダイレクトマーケティング課ブランドマネージャーの佐藤真有美氏は、かすかに緊張を感じながら、安藤徳隆社長の前に立った。日清食品の創業60周年に当たる18年度に発売する商品の企画のプレゼンテーションをするためだ。

 佐藤氏のEC(電子商取引)グループが企画した新商品は、1日に必要な栄養素が摂れる「完全栄養食」だった。日清食品のマーケティング部には10のブランドグループがある。さまざまな部署から多くの企画が上がってくるため、佐藤氏に与えられた時間は限られていた。そこで、新商品の特徴がひと目で分かるよう、冒頭のスライドに図解で示した。

日清食品マーケティング部ダイレクトマーケティング課ブランドマネージャーの佐藤真有美氏
日清食品マーケティング部ダイレクトマーケティング課ブランドマネージャーの佐藤真有美氏

 「野菜や一汁三菜をイメージする写真を並べるなど試行錯誤したが、結局、厚生労働省の図が分かりやすいと思った」と佐藤氏。1日に「何を」「どれだけ」食べたらいいかについて、栄養バランスを示した厚生労働省の図。それを左側に置き、右側には、同社グループの創業、そして技術革新の象徴である「チキンラーメン」に似た麺の写真と組み合わせた。

 プレゼンを聞いてもらえるかどうかは導入の1枚で決まる。「社長は資料を細かく読んでくれるわけではない。やるか、やらないかを一瞬で判断する」と佐藤氏。安藤社長が難色を示してからこまごまと説明するようでは企画は通らない。だからこそ冒頭のスライドで製品コンセプトの魅力と革新性をすべて安藤社長に説明する必要があった。