学生向けのデジタル講座はインターネットの黎明(れいめい)期からあるが、「値段が高く、内容が不十分」と思われていたためか、なかなか普及しなかった。ところが最近は大成功を収めているサービスも出始めている。その代表例がリクルートマーケティングパートナーズが提供する「スタディサプリ」だ。

リクルートマーケティングパートナーズが提供する「スタディサプリ」は有名予備校で活躍している講師の授業動画をスマートフォンで閲覧できるオンライン予備校サービスとして始まった。月額980円(税別、2020年2月18日からは1980円)というリーズナブルさで人気となり、18年度の累計有料会員数は84万人に上る。社会人向けの英語学習コースも展開している
リクルートマーケティングパートナーズが提供する「スタディサプリ」は有名予備校で活躍している講師の授業動画をスマートフォンで閲覧できるオンライン予備校サービスとして始まった。月額980円(税別、2020年2月18日からは1980円)というリーズナブルさで人気となり、18年度の累計有料会員数は84万人に上る。社会人向けの英語学習コースも展開している

 オンライン学習サービス「スタディサプリ」は、実はリクルートの社内コンペから生まれたものだ。そのときのプレゼンテーションで使用された資料を見ていこう。

新事業のヒントは受験生との会話から

 リクルートには「Ring(リング)」と呼ばれる、1982年から実施されてきた社内の新規事業コンペがある(下図参照)。「R25」や「カーセンサー」「ゼクシィ」などもこのコンペを経て事業化されたというから、まさに伝統的で、成果を出しているコンペなのだ。

 今回のスタディサプリは、2012年のコンペに提出されたものだ。当時は400件ほどの応募があったという。現在、リクルートは部署によって複数のグループ会社に分かれたが、現在でも横断的にコンペが行われている。

Ringのフロー
Ringのフロー
リクルートホールディングスは事業内容によって複数の会社に分かれているが、Ringは横断的に行われている。上図はRingを紹介するWebページのもの

 スタディサプリの企画は、12年、当時「NewRING」の名称だったRingに提出された。そのアイデアをまとめた中心人物の1人が、リクルートマーケティングパートナーズ まなび事業統括本部オンラインラーニング事業推進室マーケティング部部長 松尾慎治氏だ。

リクルートマーケティングパートナーズ まなび事業統括本部オンラインラーニング事業推進室マーケティング部部長 松尾慎治氏
リクルートマーケティングパートナーズ まなび事業統括本部オンラインラーニング事業推進室マーケティング部部長 松尾慎治氏

 スタディサプリに取り組むことになったきっかけは、あるイベントで知り合った受験生との会話だった。「『勉強頑張れよ』と言ったら『頑張りたくても、頑張れないんですよ』と怒られた」と松尾氏。詳しく話を聞くと、予備校に通えていない受験生がたくさんいることが分かった。

 松尾氏は、受験生は予備校に通うものと思い込んでいた。しかし地方の場合、そもそも予備校が無い地域もある。また、都市部に住んでいても、経済的な理由で通えないケースもある。当時、予備校の授業をDVDで見せるサービスもあったが、通いの授業と大差ない年額で数10万円~100万円に近い金額を支払う必要があった。「主はあくまで予備校の授業で、動画は補足という位置付け。古い授業の映像を使い回していることも多かった」(松尾氏)

 既存のeラーニングの欠点である高額なコストの問題を解決することで、予備校に通えない層を獲得できると松尾氏は確信した。

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