2018年9月に発売されたライオンの「ルックプラス バスタブクレンジング」は、半年で累計1300万個、年間で2200万個という大ヒットを記録した浴室用洗剤だ。ヒットの裏には、必ずその道を切り開いたプレゼンテーションがある。今回は記者会見で実際に使用された配布資料を紹介する。

ルックプラス バスタブクレンジングは、汚れが落ちない原因であるカルシウムを無力化することで「こすらず洗える」浴室用洗剤。浴槽全体に泡を吹きかけられるミストトリガー搭載スプレーもポイントだ。日経トレンディと日経クロストレンドが発表した「2019年ヒット商品ベスト30」で9位となった
ルックプラス バスタブクレンジングは、汚れが落ちない原因であるカルシウムを無力化することで「こすらず洗える」浴室用洗剤。浴槽全体に泡を吹きかけられるミストトリガー搭載スプレーもポイントだ。日経トレンディと日経クロストレンドが発表した「2019年ヒット商品ベスト30」で9位となった

「洗浄力が強い」と言われるのが嫌だった

 汚れがきれいに落ちる浴室用洗剤は、いまや当たり前だ。最近の浴室用洗剤はどれも性能が高くなり、少ない量で十分きれいになる。新しい価値を提供しなければ、爆発的なヒットにはつながらない。

 ライオンの浴室用洗剤の売り上げを3倍にした「ルックプラス バスタブクレンジング」の最大の特徴は「こすらなくても汚れを落とせる」ことだ。洗剤を吹きかけて60秒ほど待ち、シャワーで洗い流す。シャワーの水流で汚れが落ちるので、こする必要がない。

 「浴室用洗剤で『こすらず洗える』とうたう製品は、実は古くからありました。十数年前まで各社がそんな売り方をしていたのです。しかし、実際は落とし切れない汚れもあり、廃れていった経緯があります。自戒の念を込めて、本当に『こすらずに汚れを落とせる洗剤』を開発しようとしたわけです」と話すのは、ライオン ヘルス&ホームケア事業本部リビングケア事業部ブランドマネージャーの宮川孝一氏。

ルックプラス バスタブクレンジングの開発には7年かかったと宮川氏は言う
ルックプラス バスタブクレンジングの開発には7年かかったと宮川氏は言う

 近年の浴室用洗剤のトレンドが「除菌や消臭」という付加価値に移行するなか、宮川氏はルックプラス バスタブクレンジングの「こすらず洗う」という特徴を、製品発表会でどう伝えるかに苦心したと言う。

 「嫌だったのは『洗浄力が強い』と言われることでした。私たちが目指したのは『風呂掃除の負担を軽減する』こと。そのためプレゼンでは、風呂掃除が大きな負担になっているという背景を最初にしっかり説明しました」(宮川氏)

 時代背景、市場の状況などを最初に説明するのはプレゼンの定番スタイルだが、宮川氏のプレゼンではそこに注力したわけだ。

洗剤に何が求められているか、まずは詳細データを示す
洗剤に何が求められているか、まずは詳細データを示す
こちらが発表会のプレゼンテーションで提示したスライド。まずは「こすらない」というキーワードにたどり着くまでの背景を説明するために「風呂掃除が負担になっている」というデータを示している

 「ルックプラス バスタブクレンジングを使うメリットは人によって違う」と宮川氏は言う。「重要なのは『こすらず洗える』ということ。それを時短になると考える人もいるし、腰への負担が軽くなる、滑ることの恐怖心から解放される、服をぬらさなくて済む・・・・・・と、いろいろです。受け取り方は使う人にお任せして、こする必要がないことを打ち出せば、製品の良さを分かってもらえると考えました」

キーワード「こすらず」をプレゼン資料で連発
キーワード「こすらず」をプレゼン資料で連発
プレゼン資料の中で「こすらず」「こする」「こすり洗い」というキーワードを何度も使用していることが分かる。43ページの資料の中で「こすらず」は19回、「こすり洗い」「こする」は5回登場する
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