前回は、アナウンサーの堤友香さんに、プレゼンで話すときに適した速度、適度な緊張感を保つ方法などを教えてもらった。今回は、より伝わりやすい話し方のポイントを紹介しよう。

セント・フォース所属のアナウンサー、堤友香さん。テレビと違ってビジュアルがないラジオでは、テレビの3分の2の速度で話すのだという。そうしたプロのテクニックには恐れ入った
セント・フォース所属のアナウンサー、堤友香さん。テレビと違ってビジュアルがないラジオでは、テレビの3分の2の速度で話すのだという。そうしたプロのテクニックには恐れ入った
今回のポイント
1.背筋を伸ばして、やや上向きで話す
2.高い音から始めて低い音で終わる
3.緩急をつけて話す。重要な部分はゆっくり

 何かを伝えようとするとき、どのように話しているだろうか。表情豊かに大きな声で話すという人がいる一方で、落ち着いた表情でゆっくり話すという人もいる。もちろん自分なりの工夫も大事だし、一生懸命に話せば熱意は伝わるだろう。しかし、「一生懸命」と「上手」は違う。上手な話し方を理解した上で、一生懸命に話すのが最善なのだ。

背筋を伸ばすといいプレゼンができる

 「プレゼンに臨む際、最も重要なのは第一声です」と堤さん。最初の「初めまして○○です」などのあいさつに元気がなく、覇気が感じられないと、マイナスの印象を与えてしまう。逆に、最初に「元気なやつが来たな」と思われれば、プレゼンにも大いにプラスになるわけだ。

 聞き取りやすい話し方には姿勢も重要だ。頭の上からひもでつり下げられているような意識を持って背筋を伸ばす。目線はやや上を見て、山なりのボールを投げるような意識で声を届ける。

 下を向くと声が出にくくなるし、聞き手も自分に向けて話してくれていると感じられない。手元資料を見ながら話す際も、視線を落とすだけで読めるくらいの位置で持つといいだろう。

工夫前の姿勢。猫背では覇気が伝わらないし、声もよく出ない(左)。上からつり下げられている意識を持ってしっかりと立つ。これで声も出やすくなる(右)
工夫前の姿勢。猫背では覇気が伝わらないし、声もよく出ない(左)。上からつり下げられている意識を持ってしっかりと立つ。これで声も出やすくなる(右)

こそあど言葉は避ける、間投詞は最悪

 プレゼンの原稿で気を付けたいのは、いわゆる「こそあど言葉」だ。「この」「あの」「その」といった言葉は、音声による情報しかないラジオでは使わないそうだ。プレゼンの場合も、目の前のグラフを指し示して「このグラフをご覧ください」と言うよりも、具体的に「売り上げの推移を示したグラフをご覧ください」「どれだけ売り上げが伸びたかご覧いただきます」と言ったほうが伝わりやすい。

 また「えー」「そのー」といった間投詞の連発も聞き苦しい。これを克服するには「無音を恐れない」ことが必要だと堤さんは言う。無音は聞き手が理解するための「間」であり、むしろ必要なもの。そう捉えれば、無音が恐くなくなる。

 以上を踏まえた上で、プレゼンではいつも話しているときの3倍のテンションで話す。疲れるとは思うが、それが結果につながるなら、疲れるなどと言っている場合ではない。

このコンテンツ・機能は有料会員限定です。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>
この記事をいいね!する