話し方はプレゼンテーションにおける重要な要素の1つだ。では、どんな話し方をすれば内容が伝わりやすいのか。戸田覚氏が、プロのアナウンサーである堤友香さんにプレゼンに向いている話し方について聞いた。
2.録音は本番に近い環境で
3.きちんと準備し、自分の言葉で話す
プレゼン上手といわれるビジネスパーソンが話し上手だとは限らない。考えてみれば、そもそもどんな話し方が上手で、プレゼンに向いているかすら分かっていない。
ということで今回は、アナウンサーのマネジメント事務所であるセント・フォース(東京・渋谷)に所属する堤友香さんにプレゼン向きの話し方について聞いた。堤さんはTBSの「あさチャン!」リポーター、フジテレビONEの「プロ野球ニュース」のほか「TOKYO MX NEWS」などで活躍する現役のアナウンサーだ。
昨今では、テレビ局への入社を目指して、専門的な技術を学びたいと考えるアナウンサー志望者が増えているそうだ。その一方で、セント・フォースが開講したアナウンススクールの受講者には、仕事のために話し方のスキルを磨きたいというビジネスパーソンもいたという。
「プレゼンで説得力のある話し方をしたい人も参加していました。その後、出世されたという話も聞きました。効果があったと実感していただけたのならうれしいです」(堤氏)
ビジネスパーソンにも、上手に話したいニーズがあるようだ。確かに、営業やプレゼンのセミナーなどを開催する企業はあるが、話し方の教育を受けた話はあまり耳にしたことがない。
プロのアナウンサーなら1分間300文字が目安だが……
さて、前置きが長くなったのでそろそろ本題に入ろう。
まずは、どれくらいの速度で話すのが適切なのだろうか。よく、NHKのアナウンサーは1分間に300文字の速さで話すといわれるが、堤さんの認識もそれに近い。
「具体的に何分で何文字という練習はしてきませんでしたが、400字詰め原稿用紙1枚なら、1分と少しだと思います」(堤さん)。
とはいえ、プロのアナウンサーでない限り、聞きやすい速度ならそれでいいと堤さん。「滑舌が良い人は、自然に早口になることが多いです。うまく話せるし、相手も聞き取りやすいから早口になるわけですが、それはそれで構いません」
人それぞれ聞きやすい速度は違うので、自分が早口なのか、逆にゆっくりなのかを知って、それを修正する程度で十分だ。1分間に300文字の目安に近づけるように訓練する必要はない。
本番に近い状態の録音を聞いてみよう
まずは、今の自分がどれくらいの速度で話しているかを確認することから始めよう。スマートフォンで構わないので、録音した自分の話し方を、じっくり聞いてみるのだ。録音するのは練習のときの話し方ではなく、プレゼンや商談など、本番の緊張した状態がいい。
自分の話し声を聞くのは、ちょっと恥ずかしいかもしれない。プロのアナウンサーでさえ「なかなか慣れない」らしいが、録音を聞くことで、自分の話し方を客観的に分析できるのだと堤さんは言う。
「人によって、パターンが2つに分かれます。緊張すると早口になる人と、遅くなる人がいるのです。遅くなる人は直しやすいですね」(堤さん)。
ここがポイントで、緊張している状態で自分がどう変化するのかを知るために、できるだけ本番に近い環境で録音するわけだ。
録音を聞いて自分で早口だと思ったらゆっくりに、逆なら速めるように心掛ければいい。
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