ユニークな発想とちょっとした工夫で新商品やサービスを開発し、成功している中堅中小のイノベーター企業を追う本連載。今回は、高い吸水力を備え、これまでの半分のサイズでも十分にした、今までにないタオルが大ヒット中の浅野撚糸(岐阜県安八町)を取り上げる。

浅野撚糸のタオルは、高い吸水力を持ち、ふっくらとした感触が特徴だ
浅野撚糸のタオルは、高い吸水力を持ち、ふっくらとした感触が特徴だ

 「海外製品に市場を奪われ、売上高はピーク時の3分の1 にまで落ち込んだ。創業社長の父親から廃業を勧められたほどだった。だが、それだけは避けたいという思いで付加価値の高い製品作りにまい進し、今まで頑張ってきた」。こう語るのは撚糸加工メーカー、浅野撚糸(岐阜県安八町)の浅野雅己社長だ。その浅野撚糸が、高い吸水力を備え、ふっくらとした感触を持つ高機能タオル「エアーかおる」を2007年に開発して急成長している。07年は約2億3600万円だった売上高が19年には約23億円になる見込み。

 撚糸(ねんし)とは文字通り、糸をより合わせる技術。糸の組み合わせやノウハウによって、さまざまな機能を持つ糸が出来上がる。浅野撚糸は従来、下請けの立場だったが、安売りの波に巻き込まれ、自ら最終商品のメーカーとなるべく新商品の開発を急いだ。クラレの水溶性糸やタオルメーカーのおぼろタオル(三重県津市)と出合い、エアーかおるを完成させた。

 水溶性糸とより合わせ、水に漬けると繊維の間に細かい隙間がたくさんできる。さらに他社にまねできない撚糸のノウハウで、高い吸水性とふっくらとした感触を生み出せるようにした。

 試作を繰り返して完成させ、07年6月には岐阜県大垣市役所内の新聞記者クラブでプレス発表。販売を開始すると大手子供服メーカーのファミリアが扱うなど商品に対する自信を深めた。

浅野撚糸の本社。前列中央の2人が浅野社長夫妻
浅野撚糸の本社。前列中央の2人が浅野社長夫妻
エアーかおるのロゴデザインは、浅野夫人がモデル。製品名の「かおる」は「K(クラレ)A(浅野)O(おぼろタオル)L(リブ)」から考案。3社の感性が生きるという意味だ
エアーかおるのロゴデザインは、浅野夫人がモデル。製品名の「かおる」は「K(クラレ)A(浅野)O(おぼろタオル)L(リブ)」から考案。3社の感性が生きるという意味だ
上が「エアーかおる」シリーズの「バスタオル」で、その下の「エニータイム」は約半分の幅にした。吸水性が高いからこそ、半分でも機能は十分だと判断した。さまざまな種類を備え、「エアーかおる ダディボーイ エニータイム」(今治製)の場合で価格は1800円(税別)
上が「エアーかおる」シリーズの「バスタオル」で、その下の「エニータイム」は約半分の幅にした。吸水性が高いからこそ、半分でも機能は十分だと判断した。さまざまな種類を備え、「エアーかおる ダディボーイ エニータイム」(今治製)の場合で価格は1800円(税別)
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