ユニークな発想とちょっとした工夫で新商品やサービスを開発し、成功している中堅中小のイノベーター企業を追う本連載。今回は独自開発の導電性繊維を使ったウエアラブルソリューションで注目されるミツフジ(京都府精華町)の前編。

ワコールと共同開発したブラジャー「iBRA(アイブラ)」は、装着する小型発信機から心拍など生体情報をリアルタイムにスマートフォンに送信し、着用者のストレスを表示する。ブラジャーがウエアラブル端末代わりになる
ワコールと共同開発したブラジャー「iBRA(アイブラ)」は、装着する小型発信機から心拍など生体情報をリアルタイムにスマートフォンに送信し、着用者のストレスを表示する。ブラジャーがウエアラブル端末代わりになる

 2019年4月25日、ワコールは働く女性の健康管理を支援するため、新しいブラジャー「iBRA(アイブラ)」を発表した。導電性の繊維を使用した製品で、着用者の心拍といった生体情報を取得できる点が特徴だ。体にぴったりと着けることで、心臓の鼓動によって体に生じる微弱な電気信号を導電性の繊維が検出し、小型発信機で外部に送信する。体に異常が発生するとすぐに分かるし、異常が起こる前に予兆を把握できる。いわばブラジャーが心電計の代わりになるわけだ。

 この導電性の繊維「AGposs(エージーポス)」を開発し、さらに着用者の生体情報の取得からストレスなどを可視化する一貫したソリューション「hamon」を作ったのがミツフジ(京都府精華町)だ。アイブラの開発にも関わっており、ワコールが生体情報を正しくつかめむための最適なブラジャーの設計を、ミツフジは導電性の繊維の提供や小型発信機とアプリの開発、さらに生体情報の取得から解析までのシステム関連を担当している。アイブラを使うソリューションは19年7月末から、ミツフジが法人向けに販売していく。サブスクリプションモデルで提案し、初年度は1万着程度の出荷を計画中だ。

健康管理する企業姿勢で従業員のモチベーションが向上

 生体情報を取得する場合、リストバンドのような小型端末を手首に装着して心拍数を見る方法はあるが、これより正確に検知できるという。下着からシステムまで含むソリューションを一般企業が導入すれば従業員の健康管理に役立ち、いわゆる「健康経営」を実践する例として企業価値が高まるかもしれない。

 実際、アイブラの開発に当たっては航空会社のピーチ・アビエーションに協力してもらい、客室乗務員が業務中に着用して検証した。生体情報の分析や実施後のアンケート調査の結果から、「十分な睡眠」「仕事のやりがい」「習熟度に応じた業務内容」があれば、ストレスが低いことが分かった。さらに、従業員の健康促進に企業が積極的に取り組んでいることを、8割以上が評価した。企業が正しく労務管理をするため一定の個人情報を取得することには、9割が理解を示したという。今後、ピーチ・アビエーションも導入していくとみられる。

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