建築模型の技術力を一般の人に伝えたい

 トライアードの創業は1999年。建築模型の製作、建築設計の他、トータルデザイン会社としてディスプレイやプロダクト、グラフィック、ウェブなどのデザインを手掛ける。海外へのインターンシップや留学を支援する事業もある。17年より新たな事業として立ち上げたのがOMOSHIROI BLOCKだった。

 なぜデザイン会社がオリジナルプロダクトを作ることにしたのか。これまで制作してきた建築模型やディスプレイなどは企業が相手で、一般の人に触れることはなかったからだという。「創業以来、建築模型の製作で培ってきた当社の技術を、老若男女問わず一般の人にも知ってもらいたい、その技術を楽しんでもらいたいと思った」と妹尾氏は明かす。

 開発がスタートした当時は、企画部として堀口英人社長や妹尾氏、模型製作の技術者など4人がトライアードのスローガン「OMOSHIROIをかたちに」を、何とか具現化しようと知恵を絞っていた。「展示会への出展やデザインコンテストへの応募など、一般の人たちが見て楽しんでもらえる“OMOSHIROI”ことを展開してきた」と妹尾氏は言う。

 そんななか、トライアードが培ってきた模型制作の技術を生かし、1枚ずつ紙を切り取ることで何らかの構造物が現れるようにすると一般の人にインパクトを与えるのではないか、といった意見が出た。模型を製作してきたトライアードには、平面図を3D化する立体造形の技術があったからだ。さらにオフィスで使う最も身近な商品としてメモパッドがあり、これらからOMOSHIROI BLOCKを思いついたという。

 現れる構造物については、トライアードのデザイナーが「日本の建築構造美を表現できるモノ」として選んだ。最初の製品が清水寺本堂だった。観光地として人気の京都で、清水寺本堂は特に有名だからだ。開発チームは清水寺本堂の柱の数も数えて平面図を作り、3Dとして忠実に再現するようにした。メモ用紙の素材にもこだわり、色や柄のついた特殊紙の中で、日本らしい色合いと1枚ずつめくるときの心地良さで選んだ。

 17年11月にOMOSHIROI BLOCKとしてピンクの清水寺本堂が完成した。しかし企業向けのビジネスしか展開してこなかったトライアードにとって、OMOSHIROI BLOCKは初めての消費者向けの商品。販売チャネルは全くのゼロだった。そこから新たな挑戦が始まったのである。

グランドピアノが現れる「Piano」。内部も精巧に作っており、実際に弾けそうなイメージがする
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東京・浅草寺の風雷神門が出てくる「Asakusa」。インバウンド向けのお土産にもなりそうだ
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(写真提供/トライアード)