今回は、ロイヤルホテル那須の後編。客室階の一番下になる4階を親子連れのフロアとして改装したのは、子供が飛び跳ねても下の階から苦情が来ないからだ。「子供重視」の狙いが当たり、4階の設備投資は今後2~3年で回収できるという。

ロイヤルホテル那須に入ると、ロビーには子供向けに「WELCOME」と描かれたバルーンがある。これも従業員が買って飾りつけた
ロイヤルホテル那須に入ると、ロビーには子供向けに「WELCOME」と描かれたバルーンがある。これも従業員が買って飾りつけた

 「親子連れを引き寄せるには、どうしたらいいか」。ロイヤルホテル那須が本格的な改装に当たって依頼したのが、ホテルやオフィスのデザインを手掛ける三井デザインテックだった。

 予算の都合上、これまでは自分たちでデザインを考えて飾り付けをしてきた。だが、親子連れに狙いを絞れば客室単価や稼働率が上昇すると分かれば、プロによるデザインがさらなる業績アップにつながる。「親子連れに特化した、子供の喜ぶホテルにしたい」という思いを聞き、三井デザインテックは実際に子育てをする女性を中心に、プロジェクトチームを発足させた。

 ロイヤルホテル那須は、「那須の地域性を取り入れたデザインにしたい」という希望があった。そこで動物をモチーフにすることにした。那須には動物園が多く、動物ならキャラクターと違って飽きがこないからだ。三井デザインテックは動物を起点にデザインを考えていった。

 ロイヤルホテル那須が企画書を出し、それを基に客室を含めたフロア全体のパースを三井デザインテックが手掛けた。その後、予算も勘案しながらすり合わせしていった。三井デザインテックとは、多いときで月に3回ほどミーティングを行ったという。最終的には4階のフロア全体に設備投資をして新たに改装。これまで4階には22室あったが、一部の部屋をつなげて19室にした。

 出来上がった客室が、「キリン」「しまうま」「ぞう」「しか」が出迎え、子供たちの冒険心をくすぐる仕掛けを盛り込んだ客室「サファリキッズ」、柔らかな色合いで母親と赤ちゃんが安心してくつろげる客室「フォレストベビー」、空間を広めにとった3世代向けの客室「ファミリースイート」の3タイプ。2018年1月から施工を開始し、同年3月に完成した。通常の客室に対し、サファリキッズとフォレストベビーは5000円、ファミリースイートは1万2000円の追加料金が必要だ。

 旅行サイトの口コミやインスタグラムでも話題になり、今では4階から真っ先に予約が埋まるようになった。繁忙期における4階の稼働率は99%に達する。相乗効果で他の客室の稼働率も年間で3%伸びた。4階の設備投資は今後2~3年で回収できる見込みだ。

改装しなかった客室の一例。以前は、こうした“普通”の客室ばかりだった
改装しなかった客室の一例。以前は、こうした“普通”の客室ばかりだった
当初は従業員たちが客室の改装を手掛け、大型家具店などで子供が喜びそうな備品を購入して設置していた。通常の客室に比べて遊び心がある。窓の位置で改装前後の様子を比較できる
当初は従業員たちが客室の改装を手掛け、大型家具店などで子供が喜びそうな備品を購入して設置していた。通常の客室に比べて遊び心がある。窓の位置で改装前後の様子を比較できる
三井デザインテックによって改装された4階の客室「サファリキッズ」。備品を置くだけでなく、空間全体を思い切って変えた。見直したのは内装だけなので、大きなコスト増はないもよう
三井デザインテックによって改装された4階の客室「サファリキッズ」。備品を置くだけでなく、空間全体を思い切って変えた。見直したのは内装だけなので、大きなコスト増はないもよう
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