栃木県のロイヤルホテル那須は親子連れにターゲットを絞り、客室やフロアの一部を子供の遊び心をくすぐるデザインに改装した。すると旅行サイトで評判が広がり、客室単価や集客率の上昇につながった。2018年度の売上高は前年比9%アップした。
ユニークな発想とちょっとした工夫で新商品やサービスを開発し、成功している中堅中小のイノベーター企業を追う本連載。今回は大和ハウス工業グループの大和リゾートが運営する、ロイヤルホテル那須の前編。JR那須塩原駅から車で約30分のところにあり、外観は普通の建物と変わらない。だが、一歩入るとロビーやフロントの前におもちゃを置いたり、子供が遊べるスペースを取ったりするなど、親子連れを意識したつくりになっている。
客室は12階まであるが、4階の客室とフロアは圧巻。空間を動物のモチーフでデザインにした他、室内に“隠れ家”のようなスペースも設けた。子供が遊べるさまざまな仕掛けや工夫を盛り込み、親子連れが喜ぶ仕掛けが満載だ。しかも当初はロイヤルホテル那須のスタッフたちが、大型家具店などから子供が喜びそうな備品を購入したり、壁を自分たちで改装したりして作り上げたという。
すると旅行サイトで評判が広がり、親子連れの予約で埋まるようになった。4階が埋まると他の階にも次第に親子連れの予約が入った。手作りだった室内やフロアを2018年3月、三井デザインテックに依頼して本格的にリノベーションしたところ、客室単価や集客率が上昇。18年度は9%も売り上げが増えた。
三井デザインテックによる空間デザインのテーマは、那須の自然をイメージした「SAFARI」「FOREST」「AQUA」だという。4階でエレベーターを降りると、エレベーターホールから客室に至るまで、全てのデザインを統一している。
例えばエレベーターホールには、巨大な動物のぬいぐるみや子供が乗って遊べるサファリカーを用意。各室内にも動物のシルエットをあしらい、子供たちが楽しめる空間を作っている。那須といえば、たくさんの動物に出会える「那須サファリパーク」や「那須どうぶつパーク」が有名。そこでロイヤルホテル那須でも、動物のモチーフを多く取り入れた。
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