「乾燥レモン付きの紅茶」が話題となり、売り上げが好調な光浦醸造工業。19年春頃には乾燥レモン付きの緑茶と抹茶も発売する予定。150年以上前から味噌やしょうゆなどを手掛けてきた企業がなぜ、まったく違う分野の新商品を開発し、EC販売できたのか。
ユニークな発想とちょっとした工夫で新商品やサービスを開発し、成功している中堅中小のイノベーター企業を追う本連載。第1回は、山口県防府市で150年以上前から味噌やしょうゆなどをつくり続けている光浦醸造工業を取り上げる。同社はもともと、業務用の製品のみを製造していたが、8代目の光浦健太郎社長は、2003年ごろからBtoC向けの新商品を次々と開発。醸造という枠にとどまらず開発したオリジナル商品「乾燥レモン付きの紅茶」が話題となり、業績を伸ばしている。業務用のみ手掛けていた01年度の年商は、4000万円ほどだったが、17年度は約1億9000万円。4.7倍ほどに伸びている。
現在、光浦醸造で最も売り上げている商品が、10年から販売している乾燥レモン付き紅茶「フロートレモンティー」シリーズ。防カビ剤やワックス未使用の広島県産「エコレモン」を輪切りにした乾燥レモンと、国産有機紅茶のティーバッグをセットにしたレモンティーだ。特徴は、お湯を注ぐだけで、本物のレモンの香りを気軽に楽しめること。現在、販売しているフロートレモンティーシリーズは、8種類。17年度はフロートレモンティーシリーズだけで、約9000万円売り上げた。
特に人気が高い商品が、15年から販売しているハート形の乾燥レモン付きの紅茶「FLT(フロートレモンティー) レモンハート(以下、レモンハート)」だ。光浦醸造のECサイトで発売日時を予告して販売すると、数分で売り切れる状況が続いていた。あまりに注文が殺到することから、抽せんで販売していた時期もあるほどだ。現在は製造体制も整い、同社のECサイトでは2週間に1度、定期的に販売している。かつてのように数分で売り切れることはなくなったが、「次の発売日まで売れ残ることは、ほとんどない」と、同社の光浦社長はいう。
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