米グーグルと米マイクロソフトとの間でAI(人工知能)開発の競争が激化している。2023年2月6日にグーグルが対話型AIを数週間以内に公開すると発表すると、翌日7日にマイクロソフトは同種のサービスに関する緊急会見を開いた。対話型AIの広がりでネット広告を含めたIT利用の常識が様変わりする可能性もある。

米マイクロソフトのサティア・ナデラCEO
米マイクロソフトのサティア・ナデラCEO

検索の新しいパラダイムに

 米マイクロソフトと米グーグルのAIをめぐる主導権争いが激しさを増している。2023年2月7日、マイクロソフトは米ワシントン州レッドモンドにある本社で記者会見を開き、チャット形式で質問に答える対話型AIを検索エンジン「Bing(ビング)」に追加すると発表した。サティア・ナデラCEO(最高経営責任者)は「新しい1日が始まり、検索の新しいパラダイムとなる。誰もが期待する急速なイノベーションのレースが始まる。それを楽しみたい」と話した。

質問を投げかけると人間が答えているかのような自然な文章で回答する対話AI。ネット上のさまざまな知見を学習している
質問を投げかけると人間が答えているかのような自然な文章で回答する対話AI。ネット上のさまざまな知見を学習している

 マイクロソフトが出資するAIスタートアップ、米オープンAIの対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」を組み込む。会見に登場したオープンAIのサム・アルトマンCEOは、「AIインフラとしての(マイクロソフトのクラウド基盤の)Azureのおかげで、我々の研究が大きく前進し、チャットGPTなどの誕生につながった。AI技術を何百万人もの人々の手に渡せるようにできた」と、マイクロソフトと連携の意義を語った。

マイクロソフトの記者会見には、オープンAIのサム・アルトマンCEOも登場した
マイクロソフトの記者会見には、オープンAIのサム・アルトマンCEOも登場した

 前日の23年2月6日には米グーグルが対話型AIサービス「Bard(バード)」を数週間以内に一般公開すると発表していた。後れを取ってはいられないとばかりに、マイクロソフトは緊急の記者会見を開いたとみられる。Bingの対話型AIは、即日で一部ユーザーから随時利用できるようにしていくと説明した。今後はウェブブラウザー「Edge(エッジ)」やスマートフォン上でも対応を進める方針も示した。

 一方のグーグルは、続く8日にフランス・パリでAI関連イベントを開催した。プラバッカー・ラガバン上級副社長は「検索は決して解決された問題ではなく、我々にとって最大のムーンショット(大きな変革をもたらすもの)であり続ける」と語り、Bardの詳細を説明した。「家族向けにどんな車を買ったらいいか」などと質問を投げかけると、予算、シートの数、燃料タイプなどのポイントを箇条書きでまとめた文章を返す様子などを示した。

米グーグルのプラバッカー・ラガバン上級副社長
米グーグルのプラバッカー・ラガバン上級副社長
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