米アマゾンは音声操作技術「Alexa(アレクサ)」のスキル(アプリ)や関連機器の開発者向けイベント「Alexa Live」を米国時間22年7月20日にオンラインで開催した。ユーザーのニーズを先回りして日々のルーチンを提案する機能など「気配り」ができるAIへと進化する姿を見せた。
「スマートホームで起動されるアクションのうち、30%はユーザーが何も言わなくてもAlexaによって開始されるようになった」。アマゾンデバイス/サービス担当副社長のデイブ・リンプ氏はイベントの冒頭でそんな数字を紹介した。
Alexaは音声で機能を呼び出せるだけでなく、自動的に実行する仕組みも備えている。例えば、米アイロボットの掃除機「ルンバ」はAlexaで「掃除をして」と言われたときのパターンを分析し、適切な時間を選んで掃除をする。「この5~10年、AIの黄金時代を迎えている。我々は技術のための技術ではなく、体験を有意義に向上させるため、AIや機械学習に対してアプローチしている」とリンプ氏は説明する。
ルーティン対応で継続率が40%上がる
その進歩の核には同社が「プロアクティブ・エクスペリエンス」と呼ぶ、ユーザーの行動を見越して先回りする機能がある。これを実現するために、内部では2つの仕掛けがある。一つは「ハンチ(勘)」と呼ばれるもので、ユーザーがAlexa関連機器を利用する際の習慣的パターンを観察し、機能を推奨する。例えば、毎晩9時にAlexaの音声操作で部屋のランプを消していたとする。すると「今後は自動的に電気を消すようにしましょうか」などとAlexaが提案する。
もう一つは「ルーティン」と呼ばれるもの。ユーザーがAlexaに「おはよう」と話しかけると、天気を開いたうえで、地元のニュースステーションを流す、といった連続の操作ができる。例えば、英ジャガー・ランドローバーのAlexa対応車載器を搭載した車は、1日の終わりに自宅へ戻ると、車がドアのロックを自動的にチェック、充電や燃料の残量を確認し、防犯機能を起動して、車への不正な侵入を防ぐといった一連の処理を実行できるという。ルーティンを利用しているユーザーはスキルへの継続率が40%高くなるという結果も見えてきた。
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