米ゴープロは主力のアクションカメラ「GoPro」のサブスクリプションサービスの契約数をこの1年間で2.5倍以上に拡大している。GoProのユーザー向けに、アプリのアドオン機能やカメラ交換などのサービスを提供する。なぜそこまで急増したのか。創業者兼CEO(最高経営責任者)のニコラス・ウッドマン氏に聞いた。

ゴープロのアクションカメラの最新版GoPro HERO9 Black
ゴープロのアクションカメラの最新版GoPro HERO9 Black

 ゴープロは最新版の「GoPro HERO9 Black」を2020年9月に投入した。最大で5K(5120×2880)の解像度の動画が撮影できるようにした。手ぶれ防止の「ハイパースムーススタビライザー」の性能も向上させた。自撮りの際も確認できるようにレンズのある前面にも小型のディスプレーを備えたのも特徴だ。自分でフレーミングを確認できることから、サイトに動画を投稿するYouTuberなどにも支持されているという。

 5Kの解像度はオーバースペックに思えるが、ウッドマン氏は「HERO9では顧客が最も期待しているものを、より多く搭載することに重点を置いた。そのために多くの消費者を調査した。その結果、より高解像度で高画質が求められていた」と言う。

 毎秒30フレームの5Kのビデオを撮影できるので、動画から静止画を切り出しても高い解像度を保てる。「5Kの動画と1470万画素の静止画を同時に撮影していると言える」(ウッドマン氏)。

米ゴープロ創業者兼CEO(最高経営責任者)のニコラス・ウッドマン氏。海外でサーフィンをした際にGoProのコンセプトを見いだして、2002年にゴープロを起業した。当初はハードケースに入ったフィルムカメラを腕にバンドで固定するものだった。1975年生まれで、カリフォルニア州出身
米ゴープロ創業者兼CEO(最高経営責任者)のニコラス・ウッドマン氏。海外でサーフィンをした際にGoProのコンセプトを見いだして、2002年にゴープロを起業した。当初はハードケースに入ったフィルムカメラを腕にバンドで固定するものだった。1975年生まれで、カリフォルニア州出身

 HERO9の特徴としてウッドマン氏が強調したのが、手ぶれ防止機能の向上だ。「階段を駆け下りたり、子供を追いかけたりしてカメラがあちこち動いても、映像を違和感なく見ることができる。まるで魔法のようだ」(同氏)

 20年9月のHERO9の投入後から、サブスクサービスの「GoPro サブスクリプション」の契約が急増している。21年の1~3月期には前年比2.65倍に増え、21年4月には100万契約を超えた。21年3月には、スマートフォンアプリも刷新した。「Quik(クイック)」として、GoProだけでなく、スマホや他のカメラで撮影した動画コンテンツも編集できるようにした

 ハードウエアメーカーであるゴープロがいかにサブスクビジネスを加速させたのか、ウッドマン氏のインタビューから見いだしていく。

サブスクのマーケティングを変更したのが奏功

――サブスクリプションの契約数がHERO9の投入後から急増している。いったいどのような施策を打ったのか。

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