米プロゴルフの競技団体PGAツアーが米アマゾン・ドット・コムと手を組んだ。クラウドサービスを利用して競技の映像データを流すほか、AI(人工知能)を利用した顧客体験の改善など広範に契約。アマゾンはあらゆる産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)への関与を強めている。

アマゾン傘下のクラウドサービス会社アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)とPGAツアーが2021年3月2日に提携内容を発表した。テクノロジーを活用し、ゴルフツアーの映像コンテンツを新しいデジタル体験に変換し、ファンそれぞれに応じたサービスとして提供していくとしている。
PGAツアーのコミッショナーのジェイ・モナハン氏は「多様化しているファンに対応するのが最優先事項で、今回の提携でこれまでにない体験を提供できるようになる」と顧客のメリットを強調する。
例えば、新サービスによってファンが全選手のすべてのショットを見られるようになる。1回のツアーで、約150人の選手で約3万2000ショットにも及ぶという。トップの選手だけでなく、好みの選手をリアルタイムで視聴することも可能になる。まさに究極のパーソナライゼーションである。
PGAツアーは約100年間のツアー映像をデジタル化して、AWSのクラウドデータサービスに格納することも計画している。映像の内容を理解できるAIで、それらにインデックスやタグを付加し、選手やスポンサー名などで即座に検索できるようにする。
ゴルフファンをアマゾン経済圏に
AWSとPGAツアーはこれ以上の詳細について明かしていないが、AWSとの提携でさまざまな展開が考えられる。例えば、少ないカメラで多視点の映像を提供できるようにするのは確実だろう。AIによってカメラから見えない部分の映像も生成可能になりつつある。ファンによって見たいアングルは異なるというニーズに応えることができる。
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