米ウォルマートのeコマース戦略を率いてきたマーク・ロア氏が退社する。米メディアが2021年1月15日、報じた。ロア氏らが開発してきた先進的なサービスよりも、ウォルマートとしては店舗でのピックアップサービスなど本業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推し進める狙いがありそうだ。
ロア氏は2021年1月末でウォルマートを去り起業家として活動するという。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が1月15日に、報じた。
ロア氏はウォルマートが2016年に買収したeコマース企業のジェット・ドットコムを創業した。ロア氏は米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)に対抗するための人材とも目されており、ジェットの買収はロア氏の獲得も狙いだった。
しかし新型コロナウイルスの感染拡大で環境が一気に変わったようだ。
ロア氏推進のサービスは終了
2020年2月にはロア氏が推進していた、富裕層向けの音声ショッピングサービスの「ジェットブラック」が終了となった。2017年秋に始めたもので利用料金は月額50ドル(約5200円)と高額だったが、ロア氏は「3分の2の顧客が毎週のように利用し、月平均で1500ドル(約15万6000円)注文してくれる」と好調ぶりを説明していた。
ジェットブラックは顧客がテキストメッセージや音声で手短に伝えるだけで、買い物代行を24時間365日利用できるサービスだ。「おむつをお願い」「いつもの歯磨き粉」と頼むだけで、AI(人工知能)が過去の注文からブランドや商品を推定する。AIが判断できない注文は人手で対応するのも特徴だった。家族構成も把握しており、ホテルのコンシェルジュのようなサービスを標榜していた。
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