新型コロナウイルスの感染拡大で、キャッシュレス決済の代表格である米ペイパルは追い風を受けている。4割近く利用が伸びて年間100兆円の決済に使われようとしている。2020年11月にはビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)の取引に参入。2021年には「デジタル通貨」として、全世界で暗号資産での買い物を可能にする計画だ。どのように買い物手段にしていくのか、ダン・シュルマン社長兼最高経営責任者(CEO)に話を聞いた。
米ペイパル社長兼最高経営責任者(CEO)
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)は、顧客の消費行動などにどのような影響を及ぼしたのか。
ダン・シュルマン・ペイパルCEO(以下、シュルマン氏) COVID-19はデジタル化を劇的に加速したと思う。それはヘルスケアからエンターテインメント、流通までほぼ全ての産業に及んでいる。ペイメントや金融はもちろんだ。デジタル化やオンライン購入の面ではこの半年で、3年から5年分の変化があった。
そして現金の利用も減っている。我々の調査では、年代や国にもよるが40~70%もの消費者がキャッシュレスを利用したいと言っている。キャッシュレスは健康への心配から始まったことだが、さまざまなところで活用できるということで、オンラインとオフラインの両方で急速に利用が進んだ。リアルの店舗内では非接触カードやQRコードなどを利用し始めている。
ペイパルは新型コロナウイルスの感染拡大後、特にこの四半期に急速な利用増があった。2020年7~9月期に、顧客の利用を示す取扱高は前年同期比36%増の約2500億ドル(約26兆2500億円)以上と記録的な伸びだった。年間では1兆ドル(約105兆円)の規模である。アクティブなアカウント数は前年同期比22%増の3億6100万で、うち2800万が販売事業者である。2020年7~9月期に同55%増の1520万アカウントが新規に増えた。同期の売上高は同25%増の54億6000万ドル(約5700億円)だった。
ペイパルの最大の競合はどこか。
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