米エバーノートの共同創業者で元CEO(最高経営責任者)のフィル・リービン氏が手掛ける新しいビデオコミュニケーション用アプリ「mmhmm(ンーフー)」のMac版が正式にリリースされた。著名な米ベンチャーキャピタル(VC)のセコイア・キャピタルが出資を即断したり、米アップルの新型Macのオンライン発表会にも登場したりして注目されている。今回から2回にわたり、ビデオ会議の将来像を探る。

 mmhmmは、米ズーム・コミュニケーションズの「Zoom」や米グーグルの「Google Meet」といったビデオ会議サービスでの利用に向けたもので、多様な背景の設定やプレゼンターの縮小・拡大など柔軟性が高いのが特徴だ。これまで限定ユーザー向けのベータ版だったが2020年11月12日、開発会社である米mmhmmが正式版を公開した。

 特徴は、視聴者の注目を集めるプレゼンを制作したり、ビデオ会議を実施したりできることだ。例えばビデオ会議中に、スライドや写真、動画などのさまざまな背景を、自分(話し手)の後ろ側に配置したプレゼンが可能になる。「Copilot(コパイロット)」と呼ぶ機能を使えば、離れた場所にいる2人が連携しながら講演可能だ。このようにmmhmmは、退屈になりがちなビデオでのコミュニケーションを効果的にかつ楽しくするためのツールである。

アップルが20年11月10日に開催した新プロセッサー搭載Macのオンライン発表会に登場したリービン氏(出所/アップルのオンライン発表会をキャプチャーしたもの)
アップルが20年11月10日に開催した新プロセッサー搭載Macのオンライン発表会に登場したリービン氏(出所/アップルのオンライン発表会をキャプチャーしたもの)
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 今回の正式リリース時に新機能として、インタラクティブなコミュニケーションがとれる「Big Hand mode(ビッグハンド・モード)」を導入した。カメラでジェスチャーを認識し、手や指の状態を強調したようなビジュアルを重ねて、相手に自分の意思を分かりやすく伝えることができる。視覚的に楽しみながらコミュニケーションを図れる。

 この機能は現時点で、新しいmacOSの「Big Sur」とアップル独自の新型プロセッサー「M1」を搭載した新型Macだけで動作する。そのため、アップルが20年11月10日に開催したM1搭載Macのオンライン発表会に、mmhmmの画面と共にリービン氏が登場していた。アップルが目玉アプリの1つとして、mmhmmを認めた格好だ。

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