米ウォルマートは2020年11月15日(米国時間)、傘下の西友の株式を楽天、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)に売却すると発表した。ウォルマートは西友の株式を一部保有し続ける。楽天は小売業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進する新会社を設立し、オンラインとオフラインの連携で小売業を支援していく。
KKRが西友株の65%、楽天が同20%をDX新会社である楽天DXソリューションを通して取得する。西友の企業価値は1725億円(約16億ドル)とした。ウォルマートから派遣されている西友とウォルマート・ジャパン・ホールディングスの社長兼最高経営責任者(CEO)であるリオネル・デスクリー氏は、新体制への移行まで引き続き現職にとどまる。ウォルマートは15%の株式を保有し続ける。
ウォルマートと楽天は2018年に提携し、日本で楽天西友ネットスーパーを展開してきた。米国では楽天の電子書籍事業で協業している。経営陣同士の交流もある。ウォルマートの幹部や株主、各国の従業員がそろって毎年6月に開催していた一大イベントの年次株主総会。コロナ禍の前の2019年の会合ではウォルマートの幹部が「Rakuten」の名前を何度も出すほど良好な関係だ。西友は日本チームとして参加していたが、西友よりもRakutenの方が目立っていた。
ウォルマートは米アマゾン・ドット・コムに対抗するため、ネットを強化する一方で、店舗での顧客のピックアップ効率化のための自動化倉庫などへの投資を続けている。日本は市場環境が異なるため、そうした戦略をそのまま展開するのは難しい。新体制ではKKR、楽天、ウォルマート各社が選出する取締役で構成し、日本で意思決定ができるようになるとしている。
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