米アップルは2020年11月10日(現地時間)、ノートパソコン「MacBook」シリーズと、据え置き型の小型機「Mac mini」の新機種を発表した。価格は同じか値下げで、演算処理性能を最大で3.5倍引き上げた。カメラやマイクの性能も向上させ、コロナ禍に対応し在宅業務の需要も狙う。
今回投入したノートパソコンは、13インチ画面の「MacBook Air」、同画面サイズの上位機「MacBook Pro」である。MacBook Airは999ドル~、MacBook Proは1299ドル~と従来機種と同じ価格帯に設定した。据え置き型の小型パソコン「Mac Mini」は699ドル~と従来機に比べて100ドル引き下げた。きょう体のデザインは従来機と大きな違いはない。
アップルが設計したプロセッサー「M1」を搭載したのが特徴で、今後およそ2年間かけてMacの各機種を同プロセッサーに置き換えていく。現在採用している米インテル製のプロセッサーから、自社製に、2020年内に転換することを表明していた。
M1は前モデルのインテル製チップに比べて、演算処理が最大3.5倍、画像処理が最大6倍、機械学習が最大15倍高速だという。消費電力も引き下げた結果として、従来機種よりもバッテリー駆動が最大で約2倍長持ちするという。
カメラはノイズ抑制、マイクはスタジオ品質
内蔵カメラの映像は、M1プロセッサーの画像処理機能によって向上したという。ノイズ抑制やダイナミックレンジ、自動ホワイトバランスなどの性能を改善した。担当者は「明るさが足りない場所でも粒子の粗さが少なく、よりよいコントラストと細部のシャープな映像になる」と説明する。
MacBook Proはその名の通りプロ向けで、画像や音楽を仕事などで頻繁に扱うユーザーを想定している。そのため、内蔵マイクは従来よりも高性能なスタジオ品質のものを搭載した。「S/N比が向上したスタジオ品質のマイクで、(ビデオ会議の)FaceTimeでも、ボーカルトラックの録音の際にも、音質が非常にクリア」(担当者)という。スピーカーは再生音域のダイナミックレンジが広いステレオ型である。

これらのカメラやマイクの性能向上はプロ用途だけでなく、新型コロナウイルスの感染拡大以降普及した在宅勤務にも対応したものと言える。また、M1プロセッサーにはセキュリティー機能も統合している。データを暗号化したり、紛失時にMacを第三者に利用されないようにするアクティベーションロックの機能を備えている。在宅勤務の普及で、重要な業務データを自宅で扱ったり、オフィスと自宅の間でノートパソコンを持ち運ぶ機会も増えている。
こうしたビデオ会議に欠かせないカメラ/マイクの高機能化、データなどのセキュリティーへの配慮でも、今回の新製品は在宅勤務のワークフロムホーム需要も狙ったものと言える。