米フェイスブック(FB)が米オキュラスVR(Oculus VR)を2014年に20億ドル(約2100億円)で買収して6年。VR(仮想現実)で再び攻勢をかける。ハードウエアの着実な進化に加えてサービスを充実させて再起動した。

「Oculus Quest 2」(出所/フェイスブック)
「Oculus Quest 2」(出所/フェイスブック)
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 米フェイスブックは2020年10月、性能を向上させながらも価格を従来機に比べて25%安くしたVR用ヘッドマウントディスプレー(HMD)、「Oculus Quest 2」を発売した。かつて「VR元年」とされた16年は、期待ほどに市場は成長しなかったが、20年を「真のVR元年」にする意気込みだ。

 フェイスブックは新製品の投入と併せて、人気コンテンツを続々と投入するところがかつてと異なる。加えてビジネス向けや人々の交流を促す「ソーシャルVR」などのサービスを矢継ぎ早に投入して、コロナ禍で増大した在宅勤務や「巣ごもり消費」といった新しい需要を取り込む。

 20年9月、フェイスブックがOculus Quest 2を発表すると、VR業界は歓喜の渦に包まれた。19年5月に発売した初代「Oculus Quest」に比べて、性能向上と約1割の軽量化を実現しつつ、大幅に価格を下げたからだ。VR普及の起爆剤になるとの期待が再び高まった。

 Quest 2では、ストレージの容量が64Gバイトと256Gバイトの2機種あり、価格はそれぞれ299ドル(日本では3万3800円)と399ドル(同4万4800円)である。初代Questの64Gバイト品は399ドルだった。299ドルという価格は、「ハードウエア単体では赤字でも、ソフトウエア販売で利益を出す事業モデルだろう」(HMDの動向に詳しい国内電子部品メーカーのマーケティング部門の社員)とささやかれるほどに安い。本体を安くしてソフトウエアで稼ぐゲームと似た事業モデルへの転換を図るとみられる。

好調なハード、機種を絞り量産効果

初代Questの本体とコントローラー(撮影:シリコンバレー支局)
初代Questの本体とコントローラー(撮影:シリコンバレー支局)
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