毎年米国カリフォルニア州サンノゼで開かれている、マーケティングテクノロジーの独立系専門イベント「MarTech」。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により2020年4月、オンラインイベントとして開催された。世の中に8000もあるマーケティングテクノロジーのツールを、いかに組み合わせるか。その組み合わせを意味する「スタック」と呼ばれる概念について、考え方や構築方法が共有された。
筆者が専門とするコンテンツマーケティングの業界でも、MarTechは注目度が高い。適切な人に、適切なコンテンツを、適切なタイミングで届けるのがコンテンツマーケティングの基本的な考え方だが、これらを実現するのにツールは不可欠だからだ。筆者は昨年参加したのに続き、今回はオンラインでオフィスのある熊本からMarTechに参加した。
毎年キーノートで発表される「カオスマップ」は、マーケティングテクノロジー業界の動向を知る上で押さえておくべきものだ。しかしながら、キーノート以外のセッションも注目に値する。内容は単にツール自体を紹介するというよりも、ツールのマネジメント方法や社内の運用体制構築にフォーカスしたものも多く、極めて実用的なノウハウが得られるイベントといえる。
米マーケ業界で浸透する「スタック」の概念とは
筆者が近年注目している「スタック」についても、毎年複数のセッションが設定されている。スタックとは、ツールをブロックのように見立てそれを積み重ねていく考え方で、マーケティングスタックとも呼ばれる。日本ではあまりなじみがないが、米国のマーケティング業界では浸透している概念といえる。
マーケティングテクノロジーのツール業界はまさにカオスだ。今やツール数は8000にも上る。ユーザー側としては、何をどう選べばよいか分からない。マーケティングエージェンシーが、サービスの一環としてツール選定をサポートするケースも出ている。
一方で、実はマーケティングテクノロジーツール業界は「統合」が進んでいる。プラットフォームの選択肢は米セールスフォース・ドットコムや米ハブスポットといった10程度のベンダーに限られ、続いて100程度のカテゴリーリーダーと呼べるツール群が控える。そこから先はユーザーの細かいニーズに対応する、ミニツールとも呼べるものが無数に存在する。
これらは「頭」「胴体」「足」をイメージすると理解しやすい。マーケティングテクノロジーツールの世界で「頭」であるプラットフォームは絶対的な存在。それ以外のツールは時に「頭」とAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)で連携できることをユーザーに訴え、勢力拡大を図る。
企業によって異なるスタックの思想
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