米グーグルがWebブラウザー「Chrome」において、サードパーティー・クッキーのサポートを今後2年以内に廃止すると公表し、波紋が広がっている。米国の広告業界がビジネスや技術革新への影響を懸念する声明を発表した。デジタル広告関連企業の株価が乱高下するなどの影響も出ている。
「サードパーティーのクッキーをブロックするというグーグルの決定は、デジタルビジネス、消費者へのサービス、技術革新に大きな影響を与える可能性がある。デジタルや広告の業界での事前の慎重な協議なしにこのような宣言をすることに深く失望している」
全米広告主協会(ANA)と、米国広告業協会(4A)は2019年1月17日、グーグルによるサードパーティー・クッキーのサポート廃止方針について、懸念を示す声明を出した。広告代理店だけでなく広告主の業界団体との連名である。
グーグルは20年1月14日、同社のWebブラウザー「Chrome」の開発者サイトで、サードパーティー・クッキーのサポートを今後2年間以内に廃止する方針を公表した。
サードパーティー・クッキーとは、利用者が閲覧しているWebサイトの「ファーストパーティー」ではなく、バナーなどで表示されている第三者の広告主や広告サーバーなどから送られてくるクッキーである。そのクッキーを利用して、利用者が他のサイトに行っても同じ広告が表示されることがある。これをリターゲティングといい、商品選択を迷っていた消費者の購入をうながす効果がある。少し間を置いてから広告を表示することもある。
また、広告を出さずに、利用者のインターネット上での動きをトラッキングするためにサードパーティー・クッキーを利用する場合もある。ドメインをまたいだ追跡が可能であるからだ。
こうして利用者が意図せずインターネット上での行動を把握される可能性があるため、サードパーティー・クッキーはプライバシーの側面から問題が指摘されていた。このため、アップルの「Safari」はサードパーティー・クッキーを受け付けないようにしており、Mozilla財団の「FireFox」はサードパーティー・クッキーをデフォルトで利用できないようにしている。ただ、グーグルのChromeは全世界のブラウザーで5割以上のシェアを握っており、波紋を呼んでいる。
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