AI(人工知能)でシアトルの存在感が急速に高まっている。米アマゾン・ドット・コムなどのAI活用企業や学術研究機関に、AIに強いエンジニアが集積してエコシステムを形成しているからだ。米マイクロソフト共同創業者である故ポール・アレン氏が立ち上げた「アレン人工知能研究所(AI2)」もエコシステムを支えている。AI2トップのオーレン・エツィオーニ氏にシアトルの強みについて聞いた。

オーレン・エツィオーニ氏。「アレン人工知能研究所( Alen Institute for AI:AI2 )」のCEO(最高経営責任者)。1991 年からワシントン大学のコンピュータサイエンス&エンジニアリング学科の教授も務めている
オーレン・エツィオーニ氏。「アレン人工知能研究所( Alen Institute for AI:AI2 )」のCEO(最高経営責任者)。1991 年からワシントン大学のコンピュータサイエンス&エンジニアリング学科の教授も務めている

そもそもポール・アレン氏はなぜAIの専門研究機関を作ろうと考えたのか。

なぜポールがAI2を作ったかって? そもそも彼は科学の慈善家だ。細胞化学、脳科学、イミュノロジー(免疫学)に興味を持ち、2003年にこれらの研究機関を作った。ポールはこうした基礎科学の研究に没頭し、さらにインテリジェンス(知能)について研究したいと考えるようになった。

 そして2014年に作ったのがこのAI2だ。50人以上のエンジニア、 50人のリサーチャーなど合計150人で研究している。ただ実際には、知能を可能にするマシンを作るのは難しい。そこで我々はAIの社会や企業における活用について、基礎的な課題に特化して、プロジェクト単位で取り組んでいる。

 スタートアップの支援も行っている。ポールのビジョンとして、マイクロソフトの創業が代表的なものだが、テクノロジーの論文を執筆するだけでなく、自分で企業を作って実現していくべきだというものがある。現在8社を支援している。

中学生のテスト問題を解くAI

Aristoで問題を解いている画面。石の重さをはかるために何を利用すべきかという設問に対して、はかりと答えている。マシンラーニングによってさまざまな文献や情報を学習している
Aristoで問題を解いている画面。石の重さをはかるために何を利用すべきかという設問に対して、はかりと答えている。マシンラーニングによってさまざまな文献や情報を学習している

現時点で最も大きな成果は何か

現時点で大きな成果の1つと言えるのはテスト問題を解くAIだ。「Aristo 」と呼ぶAIで、(日本の中学2年生に相当する)8年生の科学の問題を解くことができる。ニューヨーク・タイムズやシアトルの地元紙にも取り上げられた。このほかには研究者が論文を探しやすいサーチエンジンを開発している。年間6000万ユーザーの利用がある。

 企業におけるAI活用の促進もAI2の大きなミッションだ。例えば、シアトル近郊にある富士フイルムと共同で、医療データ解析の研究をしている。患者を医療機器で検査した際の音波のデータから重要な情報を見いだすといったものだ。


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