米国最大級のフードテック総合展示会がシアトルで開催された。テクノロジーをフル活用した調理器具や食材、レシピアプリなどを開発するスタートアップや大手企業が集まり、2日間に渡りピッチや展示を繰り広げた。

 「Smart Kitchen Summit North America」が米シアトルで2019年10月7日と8日に開催された。同イベントの特徴は、機器やソフトウエア、食料までさまざまな分野のフードテックに関わる、大企業からスタートアップまでが世界から集まること。まさに祭典の様相だ。特にスタートアップのピッチは、大手企業が手がけない特徴のある製品やビジネスモデルが注目を集めていた。

45秒で熱々のラーメンなどの麺物を調理する、Yo-Kai Expressの自販機。左はアンディ・リン創業者CEO
45秒で熱々のラーメンなどの麺物を調理する、Yo-Kai Expressの自販機。左はアンディ・リン創業者CEO

仮想通貨のラーメン自販機

 展示会場で注目を集めていたのはシリコンバレーのスタートアップのYo-Kai Expressである。3年前に創業した従業員10人ほどの会社だ。

 「なんで妖怪かって? どんな場所にもどんなところにも現れる日本の幽霊の一種さ。我々はそのようにどんな場所でもいつでも人々を楽しませたいと思って名付けた」

 アンディ・リン創業者兼CEO(最高経営責任者)は社名のYo-Kai Expressについてこう説明する。

 同社はラーメンの自動販売機を空港や商業施設、企業などに設置している。セントラルキッチンで調理し、麺や具の風味が保てるように冷凍した状態で自販機に格納。購入から45秒で熱々のラーメンを出す。ラーメンだけでなく、うどんやフォーなど4種類の麺類を1台で提供できるのが特徴だ。2019年10月に投入した新型機は1台で20種類の麺類を提供できるようになるという。

 リンCEOは「シリコンバレー・ベイエリアは時給が上昇し、15ドルが普通となっている。レストランオーナーは多くの従業員を雇えなくなっている。我々の自販機はそうした現状へのソリューションにもなる。マシンラーニングを使ってどのメニューが売れるのかを把握して、自販機に設定するメニューを最適化する」と説明する。

 シリコンバレーのスタートアップらしく、クレジットカードやモバイル決済以外に仮想通貨での決済が可能。サンフランシスコ空港とサンノゼ空港などに設置予定の自販機では、航空会社が遅延した際などに出す食事券でも利用できる。

 1杯の価格は11~12ドルで、日本円で1200円程度。米国のラーメン店では1杯15ドル程度が普通であり、チップを合わせると2000円だ。Yo-Kaiのラーメンは米国内では安価なうえにおいしいと評判となっている。米テスラやネットフリックスなどシリコンバレー企業の拠点にも設置されている。

 今後、セントラルキッチンなどのロジスティクスを整備したうえで、ニューヨークやシカゴなど東海岸にも進出したい考えだ。

ハード部門は「スマートブレンダー」が最優秀

ハードウエアのスタートアップで最優秀となった、ミルの無線給電によるブレンダー
ハードウエアのスタートアップで最優秀となった、ミルの無線給電によるブレンダー

 ハードウエアのフードテックスタートアップの「Startup Showcase Pitches」では、ファイナリストとなった12のスタートアップが登壇した。最優秀には野菜や果物をつぶすブレンダーを開発するミロ(millo)が輝いた。スマートフォンで好みに応じた調理法を指定する、いわばスマートブレンダーだ。

 ミロのルスナサス・トラケニスCEO兼創業者は「将来のキッチン機器は相互に接続し、パーソナライズが可能なものとなっていく。我々の開発した機器は安全かつ便利なスマートデバイスだ」と強調する。

 ブレンダーのかき混ぜる容器部分にベース部分からワイヤレスで電力を供給する。バッテリー式で1回の充電で10回利用できるという。ブラシレスモーターを採用することで、稼働時の騒音を抑えた。現在は試作品で、2020年2月に400ドルで販売を始める予定だ。

 このほか3Dフードプリンター、家庭用チョコレート製造機、賞味期限を延ばすシール、サラダバーやドリンクバーの装置など、さまざまなスタートアップが登壇した。

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