米シリコンバレーの自動運転業界で新たな動きが出てきている。台風の目はやはりグーグル系の自動運転開発会社の米ウェイモだ。カリフォルニア州の規制当局から自動運転を使った旅客サービスの試験プログラムに参加する許可を得た。秘中の秘とも言える走行データの公開にも乗り出す。完全自動運転の実現に向け、ウェイモの優位性がさらに高まりそうだ。
カリフォルニア州の旅客運輸サービスの規制当局であるカリフォルニア州公益事業委員会(CUPC)から2019年7月2日に、旅客サービスパイロットプログラムの許可を得た。免許の期限は2022年7月までの3年間だ。
実証実験のため顧客から料金を徴収することはできず、安全面からドライバーが運転席に座って運行するという条件などがある。こうした制限はあるものの、自動運転車のサービスに対する顧客の反応という得がたいデータを取得できることになる。
ウェイモは18年12月には同様の認可をアリゾナ州で取得済みだ。州都のフェニックスとその周辺地域で一般の客を対象にした自動運転の配車サービスを行っている。「Waymo One」としてライドシェアサービスとしてアプリから呼び出して利用する。
ウェイモは19年5月にライドシェア大手の米リフトとも提携。アリゾナ州で、リフトのアプリからウェイモの車両を呼び出せるようにした。米CNBCによると、フェニックス周辺エリアで6月27日からサービスを始めている。10台までのウェイモの車両を利用して、特定のエリア内で乗車が完結する顧客に限定して提供しているという。対象の乗客は、アプリで自動運転車と通常の車両のどちらかを選ぶ。現時点では自動運転車のサービスは無料で提供しているもようだ。
ウェイモはカリフォルニア州の許可を得て、自動運転を公道で実験している企業のなかでは最も優秀な成績を残している。18年には、年間120万キロメートル以上と、2位の米GMクルーズの約3倍走行した。自動運転用のAI(人工知能)が判断できない状態に陥るまでの距離は約1万キロメートルに1回と、2位の米GMクルーズ(約5000キロメートルに1回)を大きく上回った。
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