料理の世界にもAI(人工知能)の適用が検討され始めている。2019年6月16日から20日まで米ロングビーチで開催したAIによる画像認識の世界的な学会CVPRでは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)や米フェイスブックが、料理画像から材料や構造を識別する研究を発表した。レシピや調理ロボットの高度化などフードテックへの応用が期待できそうだ。
CVPR(Conference on Computer Vision and Pattern Recognition)には世界各国から約9000人の研究者や開発者などが来場し、AIによる画像認識について研究者が論文を発表したり、企業がテクノロジーを展示したりしている。
審査を通過した論文をセッション会場で発表するのがメインのイベントだが、展示会場もにぎわっている。会場には、米中を中心としたテックジャイアントやサービス企業がブースを出しているほか、世界中の研究者が論文のポスターを展示し説明した。なかでもひときわ多くの聴衆を集めていたのが、MITのチームによるピザ調理へのAI画像認識の応用だ。

ソーシャルメディアなどに投稿されているピザの画像を収集し、利用している材料や階層などを学習。ピザの重要な要素であるトッピングやソースなどの材料を追加したり取り除いたりした際に、料理手順であるレシピや出来上がりの外観がどのように変わるのかを再現できるようにした。
説明員は「ピザ調理機の自動化に適用することを想定しており、ピザの多様なトッピングの追加や削除に柔軟に対応できるのが特徴」と言う。
例えば、あるピザからトッピングのオリーブを取り除いたとする。そのピザの画像から各トッピングの順番を推定しており、オリーブ抜きのレシピ、オリーブを消した出来上がり画像を生成することが可能という。

MITチームの取り組みの特徴は敵対的生成ネットワーク(GAN)と呼ぶAIのテクノロジーを利用していることだ。画像を生成する機能と、それがコンピュータが生成したものであると見破る機能が、競い合って画像の正確性を上げていく。トッピングを追加し生成した新たなピザ画像が本物とは異なるものだと判定されると、別の画像を生成し精度を上げていく。
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