米ウォルマートは2019年6月5日から7日まで、本社のあるアーカンソー州で年次株主総会を開催した。株主への業績報告だけでなく、全世界から招集した従業員を表彰したり、最新のデジタル戦略を紹介した。生鮮食料品を顧客の冷蔵庫まで宅配するサービスなど、アマゾン対抗を色濃く打ち出した。
「顧客へのラストワンマイルだけでなく、最後の数ステップもカバーする。もし我々が食料品を家の中のキッチンまで持っていったらどうなるだろうか」
ウォルマートのダグ・マクミロンCEO(最高経営責任者)は、外出している顧客の自宅の冷蔵庫に生鮮食料品を宅配する新サービス「インホーム」を発表した。米国では共働きの家庭が多く、そうした顧客などをターゲットにする。
顧客は生鮮食料品をスマートフォンのアプリで注文。配達員は1回のみ有効なスマートキーで顧客宅の鍵を解除して、冷蔵庫や倉庫などに配達する。「顧客の冷蔵庫への配達は米国に少なくとも1年は住んでいる従業員が担当する」(マクミロンCEO)。さらにスマホアプリで、配達員の室内での様子を確認できるなど、セキュリティー面の懸念に配慮。映像は配達員の制服に装着したウエアラブルカメラで撮影する。
イン・ホームは、今年秋にまずミズーリ州カンザスシティー、ペンシルベニア州ピッツバーグ、フロリダ州ベロビーチで開始し、約100万の顧客が対象となる。サービス料金などは今後公表する。
アマゾンは生鮮食料品を注文した当日に玄関先まで配達する「AmazonFresh」というサービスを展開している。ウォルマートは冷蔵庫という顧客の“目的地”に生鮮食料品を運ぶことで差異化を図った。これまでウォルマートはネットで事前に注文しておいて、仕事帰りなどに店舗で商品をピックアップできるサービスを全米5000店舗のうち3100店舗で提供するなどしてきた。
富裕層向けのシンプル注文宅配は月1500ドルの利用
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー