米アマゾン・ドット・コムは流通網の再編に取り組んでいる。その1つが翌日配達など配達の迅速化で、米ラスベガスで開催中のイベントではドローンの投入も表明した。配送の迅速化にはアマゾンに譲れない事情がある。

米アマゾンが数カ月以内に投入する配送ドローンと、アマゾン・ワールドワイド・コンシューマーのジェフ・ウィーキーCEO(米ラスベガス、出所:Amazon.com)
米アマゾンが数カ月以内に投入する配送ドローンと、アマゾン・ワールドワイド・コンシューマーのジェフ・ウィーキーCEO(米ラスベガス、出所:Amazon.com)

 「世界クラスのフルフィルメント・センターと配送ネットワークを利用して、数カ月以内に、ドローンを使って顧客に荷物を届けることができるだろう」

 米アマゾン・ドット・コムのアマゾン・ワールドワイド・コンシューマーのジェフ・ウィーキーCEO(最高経営責任者)は2019年6月5日、米ラスベガスで開催中のカンファレンス「re:MARS」で、ドローンなどを利用した空の配送「Amazon Prime Air」の新サービスを公表した。

 披露した電動ドローンは、5ポンド(2.26キログラム)以下の荷物を15マイル(24キロメートル)の距離まで、30分以内に運ぶことができるというものだ。AI(人工知能)を利用して、自律的に障害物などを避けながら飛行する。

 アマゾンはプライム会員向けに無料で翌々日の配達サービスを提供しているが、翌日や当日の配送を実現するために着々と手を打っている。ドローンによる配達もその一環であり、米ウォルマートなど流通業の競合を引き離す狙いがある。

ウォルマートなど競合が追い上げ

2019年中にプライムの当日配送を標準とする(出所/Amazon.com)
2019年中にプライムの当日配送を標準とする(出所/Amazon.com)

 アマゾンは、2019年4月末の決算会見で同年中にプライム会員向けの翌日配達を始めると明らかにした。配送網の整備に8億ドル(約900億円)を投じる。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、プライム向けの翌日配達は既に1000万点に達しているという。

 ウォルマートや米グーグルなどeコマースの競合が翌々日の配達に乗り出しているのが背景にある。さらにウォルマートは5月中旬に、1回の購入金額が35ドル以上であれば、無料で翌日に配達するサービスを発表した。アマゾンのプライムのように会費は徴収しない。

 アマゾンはプライム会員向けの無料の当日配送にも乗り出している。現時点で300万点以上が対象だという。

300万点以上を当日配送の対象にしている(出所/Amazon.com)
300万点以上を当日配送の対象にしている(出所/Amazon.com)

 筆者の住んでいるシリコンバレーのパロアルト周辺では、ヘッドホンなどの小型電子製品は午前中にオーダーすれば、当日の夜までに届くものもある。需要の高い製品については都市部やその周辺に小型の倉庫も用意しているようだ。アマゾンは詳細を公表していないが、そうした商品がドローン配送の対象になりそうだ。翌々日の荷物は、シリコンバレーから900キロメートル以上離れたラスベガスの倉庫から来ることが多い。東京から北海道や九州の距離に相当する。

 アマゾンはあの手この手でプライム速配の優位性を保ちたい考えだ。5月13日、運送事業を立ち上げて独立するアマゾンの従業員に対して、最大1万ドルを支援すると発表している。