マーケティングテクノロジーの独立系専門イベント「MarTech」が2019年4月、米カリフォルニア州サンノゼで開催された。7000ものマーケティングサービスの「スタック」を集計したカオスマップの最新版以外に、それらスタックをどのようにマネジメントし活用していくのかに注目が集まった。
MarTechにはデジタルマーケティングの専門部署の担当者が多く参加する。中でも注目を集めていたのが、デジタルマーケティング用のテクノロジーやサービスに関する議論である。容易かつ安価に導入できる、さまざまなクラウドやSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)のサービスが乱立する中、それらをどのようにしてマネジメントするのかという点が焦点となっている。マーケティングテクノロジーのサービスをブロックのように積み上げて組み合わせることから、1つのサービスを「スタック」と呼ぶ。
サポート管理用のソフトウエアを開発・提供する米ゼンデスクは、そうしたマーケティングテクノロジー(マーテック)のスタックの管理で試行錯誤しながら解を見つけている1社だ。同社IT部門マーケティングアプリケーションズのアラナ・ヒル マネージャーが登壇し、経験を語った。
クラウドやSaaSをため込むな
タイトルは「(物をため込む)ねずみにならないで。家をきれいにして、より効率的にマーテックのスタックをマネジメントするためのヒント(Don't be a Packrat: Tips to Clean House and Manage Your Martech Stack More Efficiently)」である。いわばマーテックスタックを整理整頓する“こんまり”だ。
「SaaSは導入が容易なため、組織内に多く存在し広がっている。一方でそれらをマネジメントするのは簡単ではない。そして誤った状況に陥るまで拡張した時点で別のツールが必要なことに気づく」
ヒル氏は、このように語り、それらのマーテックスタックを効率的にマネジメントするためのアプローチを示した。
まず必要とされるのが、ITも含めた複数部署での「ツール獲得チーム」の組織だという。「マーケティングだけでなくセキュリティーや契約など法務に詳しい担当者も必要だ」(ヒル氏)。そして「目的」「オーナーシップ」「コストと効果」「ユーザー」「インテグレーション」の5つの情報を集めるべきだと指摘した。こうした特命チームや指標を作ることで、導入した本人が責任をとらなくても契約を中止できるといった面もある。
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