衛星画像を利用したビジネス分析サービスの米オービタル・インサイトが、リテール業界向けのソリューションを強化している。スーパー駐車場の車両の数や建物の改築などをAI(人工知能)による画像認識で把握するのに加え、携帯端末のデータから顧客数や交通量などを推定するサービスにも乗り出した。
「なぜその店舗だけ成績が悪いのか。車両や建物を把握できる衛星画像、それに顧客のスマホの動きの分析を合わせて、完全に透明化する」
オービタル・インサイトの創業者であるジェームズ・クローフォードCEO(最高経営責任者)は、リテール向けに店舗分析を高度化する狙いをこう語る。
オービタルは衛星写真を収集し、そこに含まれる重要な物体をAIで画像認識し解析する分析サービス会社だ。例えば、貯蔵タンクの衛星画像から、どの程度の量の原油が入っているのかを推定。各国・地域がどの程度のエネルギーを備蓄したり、消費したりしているのかを分析する。タンクの上部にあるふたやその周辺の影などの画像をAIで分析することで、貯蔵している液体の量が分かるという仕組みである。
クローフォードCEOは「当初はヘッジファンドなどの金融業から始まり、公共機関などにも利用してもらっている。リテールは新しいエリアだ」と説明する。
リテール向けでは、大きなショッピングセンターにある駐車場の車両台数を衛星画像からカウントし、各店舗の集客力の推移を把握するサービスを提供してきた。「現在のところ30万カ所の駐車場をトラッキングしている」(クローフォードCEO)。
例えば、図はディスカウントストア業界では、比較的高収入な顧客の支持を得て好調なコスコと、経営破綻し再建中のシアーズを分析したものだ。2011年を基準として駐車場の車両台数を示しているが、年々差が大きくなっていることが分かる。クローフォードCEOは「シアーズの不調はここ最近ではなく、数年前から悪い状態が続いていたことが分かる」とデータを基に語る。
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