ソニーが人工知能(AI)を活用した「フードテック」への取り組みを始めている。ロボットやAIと人間が協働し、食の新たな可能性を見いだすのが狙いだ。米テキサス州オースティンで開催したSXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)の会場で、ソニーコンピュータサイエンス研究所社長でソニー執行役員の北野宏明氏に聞いた。

北野氏は「クッキングをどう本格的に進めていくのかは決めていないが、(ビジネスとしての)ポテンシャルはある」と話す。
ただ大手家電メーカーのように、キッチン関連の家電を売るということではないようだ。「確かにソニーは今はキッチンに入り込んではいない。(大手電機メーカーのように)調理器具を提供するのとは全く違うアプローチを考えている」と北野氏は明かす。
カーネギーメロン大と「AI×料理」
北野氏がSXSWが開催されているオースティンの前に訪れたのが、米ペンシルベニア州ピッツバーグにあるカーネギーメロン大学(CMU)だ。
ソニーは2018年から、CMUと人工知能(AI)やロボットを活用したフードテックのプロジェクトを進めている。その進み具合をレビューするのが目的だ。「ロボットで人手不足を補うというのもあるが、食のサイエンスを追究していきたい」(北野氏)として、調理とデリバリー(配達)に絞ってプロジェクトを推進している。
実際、食の世界はサイエンスが深く関わっている。「料理は、味を構成する要素にどのような分子があり、どう掛け合わせて、どのような温度で調理するのかというサイエンスの世界だ。(脳がどのように認知するのかという)ニューロサイエンスも関係してくる」(北野氏)。
フードはソニーにとって、復活の立役者となった映画・音楽などのコンテンツやゲームと同じ勝ちパターンを描ける分野かもしれない。「クッキングは絶対になくならないエンターテインメントだ」と北野氏は話す。
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