米国では大手専門店の破綻が続き、多くの店舗が閉店され始めている。こうした中、電気自動車(EV)の米テスラが米国内のほとんどの店舗を閉鎖し、全面的にネット販売に移行することを表明した。

テスラのショールーム(カリフォルニア州サンフランシスコ市内)
テスラのショールーム(カリフォルニア州サンフランシスコ市内)

営業店廃止で、大幅値下げを実現

 ネット販売に移行する狙いは、2019年2月28日に発表した量産車「モデル3」の販売価格の大幅値下げだ。ネット販売に全面移行することで約6%のコストを削減し、その分を値下げに振り向ける。

 テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は自ら「テスラのEVは高過ぎる」と常々言っており、モデル3を発表した際に3万5000ドル(日本円で約392万円)の価格を実現することを約束した。2月上旬に4万2900ドルに小幅の値下げを実施し、さらに2割引き下げた格好だ。

 3万5000ドルのモデル3は内装を多少簡素化した他、走行距離を短くした。フル充電で220マイル(約350キロメートル)。これは従来の最低価格モデルと比べて約15%短い。テスラのEVはソフトウエアで様々な機能をコントロールしており、実際に電池の容量を削減しているかどうは定かではない。

テスラはモデル3の価格を3万5000ドルに引き下げた。販売サイトではさらに安い2万4450ドル(約270万円)という価格も表示している。これは補助金とガソリンの節約額を盛り込んだ「アフターセービング」の価格だ
テスラはモデル3の価格を3万5000ドルに引き下げた。販売サイトではさらに安い2万4450ドル(約270万円)という価格も表示している。これは補助金とガソリンの節約額を盛り込んだ「アフターセービング」の価格だ

 直販に大きく舵を切ったのはコスト以外にも、企画・開発から生産、販売、サポートに至るサプライチェーンの一体化が考えられる。規模の拡大に伴って、契約によるフランチャイズのディーラーが増えてくると、現場の顧客の動向を直接把握しにくくなる。コストに加えてマスクCEOがこうした点を嫌った可能性もある。

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