米ウーバー・テクノロジーズが一般人のクルマで乗客を運ぶライドシェアに続く次世代サービスについて詳細を明らかにした。シリコンバレーのイノベーションの代表事例と言われるウーバーが描くMaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)の将来像を検証する。第1回目は空のサービス「Uber Air」だ。
「今日は地上が混んでいるから、ウーバーのエアーで空からいくか。クルマで1時間半かかるところ、30分以内で行けそうだ」
米国ではこんな光景が数年後には一般的になるかもしれない。
ウーバーといえばクルマのライドシェアリングの会社だが、移動をサービスとして捉えるMaaSの実現に向けて着々と準備を進めている。
その代表が垂直で離発着できる電動飛行機を利用した空の輸送サービス「Uber Air」だ。Uber Elevate事業と呼ぶこともある。ウーバーのマーク・ムーア ビークルシステム エンジニアリングディレクターは「大都市の交通に全く新しい選択肢を提供する。地上に比べて移動時間を圧倒的に短縮できるだけでなく、モビリティー(移動)の冗長性を確保するうえでも重要だ」と言う。
Uber Airは現時点で米ロサンゼルスと米ダラスでの導入を進めており、2020年には試験サービスが始まり、2023年には実サービスへと移行する。さらに3番目として東京など日本の都市も候補の都市に挙げられている。3番目の都市は、日本以外にインド、オーストラリア、ブラジル、フランスの4カ国の都市も候補となっており、2019年中には決定するとみられる。
Uber Airを東京でサービスした場合、羽田空港から成田空港まで、タクシーや電車で100分前後かかるのが、17分前後になるという例を示している。
羽田、成田間の100分が17分に
実際には、スカイポートと呼ぶ発着地点まではクルマを使うのが現実的だろう。
ムーア氏は、東京駅から八王子や神奈川県の戸塚などに相当する25マイル(40キロメートル)の移動を例に説明を始めた。
まず電動飛行機はおよそ毎時150マイル(時速240キロメートル)でスカイポートと呼ぶ発着地点の間を11分飛行する。出発用のスカイポートまではウーバーのクルマのサービスで10分間乗車し、到着したスカイポートからは5分間歩く。この想定で移動時間はクルマの場合の70分前後から33分に半減するとの試算を示した。
40キロの移動で90ドルを想定
料金についても、具体例を提示した。クルマのカーシェアリングサービスの場合、1グループで専有できる「UberX」で60ドル、複数のグループでシェアする「UberPOOL」で39ドルに対して、Uber Airは90ドルと1.5~2倍の水準に収まるとした。1万円程度でVIPのように飛行機を使った移動ができるようになるわけだ。
スカイポートはウーバーが構築するものもあれば、既存の設備を活用する場合もあるという。米ロサンゼルスで2023年に開始する際には市内に5カ所のスカイポートを設置する予定だという。その後、近い将来に10程度、2年間で50程度まで増やす予定だという。
富裕層が個人で家にヘリポートを作ってそこをスカイポートにできるのか。これに対してムーア氏は「現時点でそれは考えていない。なぜならUber Airは一般の人々に使ってもらうサービスであるからだ」と説明する。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。