ネット注文し店舗で受け取る「BOPIS」

 ネット販売もリアル店舗を持つ大手が力を入れ始めており、競争が激しくなっている。米国の消費者は送料の水準に敏感になっており、体力のある大手の小売事業者が優位になっていく可能性がある。

ネットの商品を実店舗で受け取る「BOPIS」を利用する理由(出所:NRF「2018/2019 ウインター・コンシューマー・ビュー」)
ネットの商品を実店舗で受け取る「BOPIS」を利用する理由(出所:NRF「2018/2019 ウインター・コンシューマー・ビュー」)

 NRFが2019年1月に公表した「2018/2019 ウインター・コンシューマー・ビュー」では、BOPISを注目キーワードとして挙げている。

 BOPISはバイ・オンライン・ピックアップ・イン・ストアの略で、ネットで買った商品を店舗で受け取ることを指す。NRFは「消費者が送料を節約するためにBOPISを使い始めている。半数以上がBOPISに気づいており、そのうち7割が利用している。そして、65%と利用者の多くはショッピング体験が向上したと言う」と説明する。

 ネット専業の事業者は、価格競争では米アマゾン・ドット・コムに対抗するのは難しく、顧客に受け入られる特徴のあるサービスが求められる。例えば、カジュアル服のネット通販の米スティッチフィックスはAI(人工知能)を活用し、顧客が気に入る服を提案する月額サブスクリプションサービスを展開し、ビジネスを拡大している。

サブスクリプションサービスを利用する理由(出所:NRF「2018/2019 ウインター・コンシューマー・ビュー」)
サブスクリプションサービスを利用する理由(出所:NRF「2018/2019 ウインター・コンシューマー・ビュー」)

 「2018/2019 ウインター・コンシューマー・ビュー」によると、サブスクリプションサービスを贈り物として利用するケースが増えているという。自身が利用して満足した結果、大事な人にも使ってもらいたいという心理が働いているという。

 「2018/2019 ウインター・コンシューマー・ビュー」では今冬注目の動向として、4つの実験的な取り組みを紹介している。

今冬注目の実験的な取り組み(出所:NRF「2018/2019 ウインター・コンシューマー・ビュー」)
今冬注目の実験的な取り組み(出所:NRF「2018/2019 ウインター・コンシューマー・ビュー」)

 1つ目が、化粧品の米カバーガールのニューヨークの店舗におけるグーグルの音声AIアシスタントを利用した、顧客対応だ。2つ目が、米ウォルマート、スポーツ用品を販売するカナダのルルレモン・アスレティカ、ネットで家庭用品を販売する米フェイフェアのホリデーシーズンにおける各種の施策。3つ目が、寒い部屋の中でダウンジャケットを試着してもらうカナダのカナダグースの取り組みだ。最後が米スターバックスや100円ショップにあたる米ダラー・ツリーのモバイルアプリにおけるゲームの提供である。

 小売業は全米で最大規模の産業であり、米国の景気自体を左右する。NRFのクレインヘンズ氏は「インフレ率と金利は今年も低水準を維持すると見込まれており、小売業の売上高は最近のガソリン価格の引き上げによって支えられている」と分析する。


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