スマートシティ時代にラズパイも活躍?

 エッジコンピューティング関連では、日本のスタートアップが集まって出展した「J-Startup」で、イデイン(Idein)の提案が目に留まった。ARMプロセッサーを搭載したシングルボードコンピューターで、一般販売されている「ラズベリー・パイ・ゼロ」で動作するAI(人工知能)エンジンを展示。各社が自社のハイスペックなSoCを使用してエッジノードでの画像認識や人体検出を行っていた中、ラズパイという限られたハードウエアリソースだけで機械学習を回し、カメラ画像からの人体検出を実現していたのだ。

 デモでは「Euleka Park」という恐らくCESの中で最も人口密度が高い空間内で、人数カウント、Pose Estimation(姿勢推定)が安定して動作していた。さらに感心したのが、特殊な学習データを用いるのではなく、テンソルフローやチェイナーといった、一般的に利用される機械学習フレームワークで学習した結果を、そのまま使用できるという点である。てっきり整数型に変換するような処理を行った上で適用していると思い込んでいたのだが、ラズパイに搭載されているGPUを使用して、Floating Point値のまま処理しているとのこと。見事な技術力である。現在、同社ベータ版を公開しているという。

 このように、エッジコンピューティングは都市環境の情報を効率的に収集することを可能とする。これは、MaaSとその先にある最適化されたスマートシティの実現に向けて、根幹をなすインフラとなり得る。日々エッジで行える処理は進化しており、今後も目が離せない分野だ。

 KeyWord:【ブロックチェーン】 

 ブロックチェーンに関しても、CES 2019ではトレンドの1つと言える分野であった。これまでの仮想通貨用途から抜け出し、まさに分散台帳としての機能を期待された上でのPoC(Proof of Concept、概念実証)が、多数見受けられた。

 例えばデンソーは、車両のソフトウエアやデータの改ざん防止を目的としたブロックチェーン活用の展示を行っていた。これは、クルマから得られたプローブデータ(走行軌跡情報)などをブロックチェーン上に保持し、仮に改ざんされたとしても、他の車両やサーバーから修正を行うというもの。加えて、共同でブロックチェーンを運営するコンソーシアム内では、データの利用を行うこともできるそうだ。環境中で取得したデータを高信頼に伝播させるために、ブロックチェーンの利活用は今後進んでいくのではないかと感じさせられた。

デンソーの展示パネル
デンソーの展示パネル

 また、アルパインはフリービットと共同で開発した、Car Connectivity Consortiumのホワイトペーパーに準拠したデジタルキー「カー・キー・プラットフォーム」のデモ展示を行った。ブロックチェーン上にクルマのカギの情報を保管し、スマホアプリを使って簡単にクルマの解錠や、所有者の権利を移転できるようにするものだ。実際にイーサリアムに接続し、クルマの所有者情報や他者への権限などをブロックチェーンで管理している。従来の物理的なカギのやり取りがデジタルキーに置き換わることで、低コストで運用できるとうたわれており、今後、モビリティ分野のシェアリングエコノミーを拡大させていく技術の1つになるだろう。また、モビリティ自体(クルマ、自転車、二輪車など)の流通、メンテナンス、リユースなども効率的に行えるようになると考えられる。

 以上、今後のMaaSにおいて重要な意味を持つテクノロジーを3つ解説してきた。ここで紹介した技術は、どれも日進月歩で発展しており、現段階ではPoCであっても、実用化はそう遠くない未来だろう。MaaSの未来を見据えるには、このような基盤技術を常に注視する必要がある。そう強く感じさせられる展示だった。