電気やガスに近い存在になる

──そうしたコモディティー化、環境化がさらに進むと、将来、飲料はどのように変わっていくとお考えですか。

水口 あくまで私見ですが、現在のように、店舗で商品を選ぶという行為が少なくなると思います。電気やガス、電話のような存在に近くなる。あるいはサブスクリプションのような販売形態になる可能性があります。そういうスタイルに向かうのが飲料の必然だと考えています。

 いちいち買いに行くのも面倒だし、商品を選ぶことさえ手間だと感じる人が増えています。でも最終的には、どれかを選ばないといけないから、それは最初の1回にしておきたいというマインドが消費者の中で強くなっています。例えば、飲料の広告で「これはとてもおいしいから買ってください」という訴求の仕方は、もうピンとこないですよね。そうすると、お客さんとメーカーがどういうつながりを持てるかがカギとなるでしょう。

 社会に貢献する活動をしているとか、企業理念や姿勢に共感できるといったことが1つの選択基準になるのではないでしょうか。売り場で目立つためのデザインでは、難しくなってきていると思います。飲料にもコトや体験をデザインしていく必要があると考えています。

 コトや体験のデザインは、モノのデザインに比べ、サイクルが長くなります。その商品の情報を知って、選んで、買って、保管し、飲んで、捨てるといったプロダクトのライフサイクルを全部一貫してデザインするからです。そのため、企業の組織のさまざまな部署にデザイナーが入っていって、話を聞いて全体をまとめるような役割が求められる。パッケージのアウトプットを主に求められた時代に比べ、確実にデザイナーの役割は大きくなっています。




平成のデザイン

【平成04年(1992年)】
ボススーパーブレンド
「飲料がハレのものであった時代には、その中身の魅力を伝えることがデザインの大きな役割だった」(水口氏)

【平成16年(2004年)】
伊右衛門
サントリーのペットボトル入り緑茶として大ヒットした。無糖化、コモディティー化の背景には、熱中症への関心が高まったことも。

【平成29年(2017年)】
クラフトボス
かつては「ペットボトル入りのコーヒーは売れない」というのが定説だったが、コーヒーでもコモディティー化が進み、500ml入りのペットボトル商品が定着。