
明日の話題に使えるIT小話
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- 第170回
- 2023.06.02
不まじめな客はお引き取り願う 「コト商売」が顧客を選別する未来? モノを提供するだけでなく、体験込みを商品とする「コト商売」においては、顧客の基本的な性格やリテラシーによって、提供できる体験が大きく変わる。推奨された使用法や体験方法を守らずに商品を消費する「不まじめ」な顧客を、提供者側が選別する未来も、今後あり得るかもしれない。 -
- 第169回
- 2023.05.26
「プールでおしっこを許すな」 スマホアプリのプライバシー保護施策 ひとりが不正を働くと、市場全体がどんどん汚れる。不正を見逃さないためには透明性の確保が第一だ。アプリ市場においても、プライバシーに関するリスクを透明化する動きが進んでいる。 -
- 第168回
- 2023.05.19
欧米旅行業界が特にChatGPTに注目する理由 旅の小さな不快をケア 世界の旅行業界でも、ChatGPT(チャットGPT)活用が急速に進んでいる。旅行で生じる「重大なトラブルになるほどではないが、気に障ること」にアプローチする手段として、ChatGPTを役立てることができるかもしれないのだ。 -
- 第167回
- 2023.05.12
出版物のシンデレラこと「灰色文献」とは? AIでは及ばない思考を授ける 出版物のシンデレラ──すなわち「灰色文献」とは、価値があるのに入手困難な文献のこと。一般の流通経路の中で見つけることが難しいため、図書館などで現物を手に取る以外にアクセス方法はほとんどない。しかしだからこそ、それらに触れることができれば、ここぞというときに他では得られないヒントを授けてくれるかもしれない。 -
- 第166回
- 2023.04.28
多くを求める会員登録は、欲望に性急な「下品」なデータ収集だ 「氏名は? メールアドレスは? 住所は? 」会員登録で矢継ぎ早に入力を求めるのは、データを収集したいという事業者の欲望がむき出しになっていて、下品だ。性急にたくさんの情報を得ようとすると、登録するのを断念されたり、不満を抱いたままサービスを利用開始されたりすることになりかねない。 -
- 第165回
- 2023.04.21
「気象情報」にデータ活用のヒント 視聴者を引き付ける3ポイント 気象情報・防災情報配信を行うウェザーニュースライブからは、データ活用におけるヒントが詰まっている。データの正確性に加え、「解釈」「信頼」「常在」の3点が、視聴者をさらに引き付ける鍵となっていそうだ。 -
- 第164回
- 2023.04.07
顧客と企業「7つの関係構築法」 デジタルで多様化の利点と欠点 これまでも「顧客との関係」にはいろいろなパターンがあった。能動的な販売促進・ブランディングや、受動的なサポートなどが代表的だ。しかし、デジタル活用によって、今までに到底不可能だった多様な関係を構築できるようになってきた。データ集積などでより密な関係構築が可能になる反面、「ずうずうしい」と受け取られてしまうこともあるかもしれない。 -
- 第163回
- 2023.03.17
ソフトバンクお父さん犬CMは「投機的実行」で生まれた 驚きの背景 ソフトバンクのCMの「お父さん犬」は、1週間でCMをつくるという超短スケジュールから生まれた偶然の産物だった。CMの内容を決めないまま、不要な映像が後々生まれることを承知で、とにかく先に映像を撮りためたという。これはある種「投機的」なプロセスによって制作されたといえるだろう。 -
- 第162回
- 2023.03.03
子の成長を柱に刻む親と、洗濯リポート 数値の可視化が愛を深める? 数値として可視化することで、より愛情が深まることがあるのではないだろうか。例えば、我が子の身長を柱に刻んでいく行為は、傷で成長が可視化されることで我が子をいとおしく思う気持ちがより強まる。そして現代では、アプリやコネクテッド対応の機器を介してさまざまな数値を可視化し、製品やサービスへの愛着を促している事例もある。 -
- 第161回
- 2023.02.24
新LTV指標に「さびしさ」? 便利が勝てないネコ的サービスの強さ 「不便」を解決するサービスと、「さびしさ」を解決するサービス、強く求められるのは後者だろう。不便はある⼀時点において解決策があれば解消されるが、さびしさは継続的に解決策が存在し続けなければならないからだ。⼤きく性質が異なるそれぞれを、「ねじ回し」と「ネコ」に例えて考えてみたい。 -
- 第160回
- 2023.02.17
多様な価値観を接続する 今こそ「プロトコル」が必要だ 外交分野において「プロトコル」という単語は、国際儀礼という意味で200年以上前から使われてきた。さまざまなバックグラウンドを持つ国の代表が協調できるようにするための、作法やルールをこの単語に集約させている。こうしたプロトコルは、価値観が多様化する現代において、あらゆる領域で必要とされているのではないだろうか。 -
- 第159回
- 2023.02.10
「その業務はいくつに分解できる?」 棚卸しで効率化、DXへの一歩 業務の棚卸しを支援するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)「KAIZEN FARM(カイゼンファーム)」。各人で異なっていた業務手順を整理、マニュアル化することで、組織全体の効率化が図れる。それだけではなく、DX(デジタルトランスフォーメーション)の後押しや新サービスの開発にもつながるかもしれないという。一体どのようなツールなのだろうか。 -
- 第158回
- 2023.02.03
米Z世代に爆発的人気の「褒め合う」アプリ 買収したのは誰? 2022年8月のリリース以降、米国で爆発的にダウンロードされているアプリ「Gas(ガス)」。高校生向けのコミュニケーションアプリだ。Discord社による買収も発表されたが、一体どのような点が評価されているのか。 -
- 第157回
- 2023.01.27
事業者失踪のサービスはどうなったか 相互運用性の確保を考える クラウド連動型のコンテンツは、事業者がサービスを停止するとコンテンツが見られなくなる。企業が敷いた独自の仕組みは、その仕組みが機能しなくなった際に、見直しに大幅なコストがかかることがある。あらゆる機能は永続的ではないことを念頭に置いた、サービス開発が求められる。 -
- 第156回
- 2023.01.20
決済以上の価値を持つオーストラリアの硬貨 人手を渡り寄付を促す 王立オーストラリア造幣局は、「Donation Dollar」を発行している。この硬貨はただの1ドルではなく、名称の通り、その硬貨を受け取った人に寄付を呼びかける意味合いも持つ。この取り組みは、デジタル価値の流通とも相性がいいのではないだろうか。 -
- 第155回
- 2022.12.02
ブロックチェーン上の新概念「SBT」とは 信頼関係を可視化する? 価値の流通を促す基盤であるブロックチェーン。ブロックチェーンコミュニティーで近年議論が盛り上がっているのが、「SBT(ソウル・バウンド・トークン)」という新概念だ。例えば「信頼関係」や「栄誉」など、譲渡できない価値を取り扱うこの仕組み。概要と、SBTの流通によって想定される未来を聞いた。 -
- 第154回
- 2022.11.25
製品スケールと個人ニーズ 「ソフトウエアのスタッフ」が両立? できるだけ1つの製品をスケールさせたいメーカーと、自分の生活や好みにぴったり合った製品を求める顧客。両者の溝を埋めるのは、「ソフトウエアのスタッフ」かもしれない。 -
- 第153回
- 2022.11.11
コネクテッドが可能にする「ケ(日常)」のコミュニケーション 「買った後」も顧客のロイヤルティーを保てるコミュニケーションとは、どのようなものだろうか。製品のネットワーク接続が可能になり、企業がコネクテッド由来の顧客データを得られるようになった今、新しいアプローチでのコミュニケーションが考えられるだろう。 -
- 第152回
- 2022.11.04
空腹具合に残りの体力…… 顧客の「与信枠」を見極めよ なにかしらの活動をするときには、資源が必要になる。それは物的リソースかもしれないし、時間や自分の体力も資源と捉えることができる。例えば動画を見るとき、料理をするとき、私たちはそうした資源の残り具合を鑑みて、どのように行動するかを判断する。日常生活の中でも私たちは「与信枠」を無意識のうちに設定しているということだろう。 -
- 第151回
- 2022.10.21
JALとドコモがタッグ 新技術でデータの活用と保護を両立 JALグループとNTTドコモが、新技術「秘匿クロス統計」を用いた実証実験を2022年11月1日から開始する。この実験、企業のデータ活用を大きく進歩させうる世界的にも先進的な事例だ。プライバシー保護のため、企業横断でのデータ活用は容易ではない。しかし、秘匿クロス統計を用いることで、プライバシーを保護しながら、2社それぞれが持つデータから統計情報を作成できる。それにより得られた新しい知見を活用することで、社会課題の解決や顧客体験価値の向上が実現できる。プライバシー保護のレベルを上げるほど、データ活用の範囲が狭まるというトレードオフの関係をよい方向に崩し、より有効にデータを活用したい──。本取り組みはその実現に向けた、注目すべき事例だ。 -
- 第150回
- 2022.10.21
馬は死ぬが、鞍は残る 現代の「代替不可能な価値」とは? 自社が提供する価値のうち何がユーザーにとって代替可能か、はたまた不可能か、事業者は見定めることが必要だ。現代において代替不可能な価値としては、データ、ブランド、コミュニティーの3つがまず挙げられるだろう。 -
- 第149回
- 2022.10.14
同意は納得ではない! そのボタンがロイヤルティーをむしばむ ユーザー登録やサービス利用開始時に出てくる、パーソナルデータの利用に「同意する」ボタン。ついボタンを押してしまいがちだが、「納得」の上「同意」しているわけではないことも、ままあるだろう。こうしたしぶしぶの同意を生み出すシステムは、ユーザーのロイヤルティーに悪影響を及ぼすことにもつながりかねない。 -
- 第148回
- 2022.10.07
円滑な合意形成を 「耳のシャッター」を開けるデジタルツール ある施策が根拠に基づいた「正しい」ものであるからといって、その施策が納得して受け入れられるとは限らない。合意形成のためには丁寧なプロセスが求められるが、そこには膨大な事務的作業も付随する。そうした手間を解決することで、人間同士の対話を円滑にすることは、デジタルの真骨頂だろう。 -
- 第147回
- 2022.09.30
アメリカの人工妊娠中絶の判断で見直される、「健全な」データ流通 人工妊娠中絶に関する米連邦最高裁の判断が、位置データやヘルスケアデータをはじめとした、米国のデータ流通に大きく影響を及ぼしている。健全なデータ流通を実現するために、あらゆる場面でのデータ保護の見直しが今後必要となるだろう。 -
- 第146回
- 2022.09.16
スマホ連係の信号機システム 視覚を補完するテクノロジー 視覚障害者にスマホからの音声や振動で信号機の状態を伝えたり、ドアの開閉状態を伝えたりするなどの、新システムが生まれている。こうした人間の能力を補完・拡張するものがテクノロジーによって実現されつつある。 -
- 第145回
- 2022.09.09
「花屋の嘘」が心をわしづかみ? “共有”が顧客との関係をつくる モノや行動、気持ちを「共有」することによって、人と人との関係はつくられる。こうした考え方は、事業者と顧客の間にもいえることではないか。特に、事業者が一方的に情報や製品を提供するという旧来型のモデルから、コミュニティーづくりのような横のつながりが重視されるようになった近年においては、なおさらだ。 -
- 第144回
- 2022.09.02
LTVは社内で方言になっている? 今こそ「ファン会計」が必要か LTV(顧客生涯価値)やNPS(顧客推奨度)、顧客ロイヤルティーは、マーケターが考慮すべき重要な指標だ。しかし社内で別業務に携わる人たちは、それらのワードを特段重要性を持たないものとして認識している可能性がある。そこで、企業の共通言語である「会計書類」に当てはめて、それら指標の事業への必要性を見直すのはどうだろう。 -
- 第143回
- 2022.08.26
60年前の“マーケの古典”に学ぶ 「消費者の系列化」とは何か 「特定企業のファン、すなわち固定客をつくりあげていくことは、マーケティングの、否、企業活動の最終目的として設定されるべき最重要問題なのではあるまいか」。この文言だけ切り抜くと、日経クロストレンドの記事からの引用にも見える。「ファンマーケティング」とか「LTV(顧客生涯価値)」に関する記事の締め言葉になりそうなメッセージだ。しかし実際には違う。これは約60年前、1964年に日本マーケティング研究所の小嶋庸靖氏らにより執筆された本の中の一節だ。この本のタイトルがとてもいい。「消費者の系列化」という。 -
- 第142回
- 2022.08.19
DXの味方を増やせ IT活用による業務改善が生み出す効能とは 組織の中で日々回る業務。問題が何もないわけではないが機能している。そんな仕組みを変えることをためらう気持ちはよく分かる。また、非効率だろうが、時代遅れだろうが、その業務に慣れて愛着を持っている担当者が間違いなく存在している。その人の心情を無視して仕事の仕方を変えようとすると痛い目にあう。 -
- 第141回
- 2022.08.05
なぜ松葉やビスケットを入れるのか 心意気を伝えるセンサーの力 箱を開けると、真っ白なまんじゅうの上に鮮やかな緑色をした松の葉が置いてある。何のために松の葉を入れているのか。まんじゅうが白いので彩りのためだろうか。確かにそのコントラストも美しいが、松の葉を入れた一番の目的は賞味期限を確認することにあった。 -
- 第140回
- 2022.07.29
「いいね!」ボタンは信頼を育む“チャレンジコイン”になれるか 米軍から広まった「チャレンジコイン」など、ゆるやかなつながりをつくるさまざまな形がある。デジタル時代において、商品やサービス、コンテンツなどに“星”を付けて評価したり、「いいね!」ボタンを押したりする仕組みが当たり前になってきているが、それらはつながりをつくる仕組みとして機能しているだろうか。 -
- 第139回
- 2022.07.22
VR時代のコミュニケーション 「気が利く」「気持ち悪い」の境界 VR(仮想現実)の世界なら、自分の姿を変えることはもちろん、相手への視線や振る舞いまでも簡単に変えることができる。それによりコミュニケーションは円滑になるが、一線を越えてしまうとネガティブな印象を与えかねない。人と人とのコミュニケーションにおける「気が利く」と「気持ち悪い」の境界線はどこにあるのか。 -
- 第138回
- 2022.07.15
ソニー「メタバースハンド」が目指す未来 遠隔地の人と“握手” 遠隔地にいる人の手の動きを再現し、“握手”ができる「メタバースハンド」。ソニーの有志が開発しているロボットハンドは、テクノロジーを駆使し、アーティストとファンの間で行われる体験をより豊かなものにしたいという目的から生まれた。 -
- 第137回
- 2022.07.08
今必要なのは、コミュニケーションを補う“お見合いおばさん”だ 「面と向かって言うと角が立つ」「パワハラ・セクハラと感じられたらどうしよう」など、仕事やプライベートにおいて意見や質問をすることに気が引けてしまうシーンはよくある。そんなときに役立つのが、人と人との間に立ってコミュニケーションを円滑にする“お見合いおばさん”のような存在だ。 -
- 第136回
- 2022.07.01
知っておくべき、“まじめで不器用”な「AI社員」との働き方 AI(人工知能)は例えるならば、仕事は早いが融通が利かない社員だ。業務との相性がよければ目にも留まらぬスピードで仕事をこなすが、「愚直で頑固」なため、人間が適切に指示出しをする必要がある。人類の仕事を奪う存在として恐れられてもいるAIの特性をビジネスで生かすためにはどうすればいいのだろうか。 -
- 第135回
- 2022.06.17
そのNFTはいかほどか? 小5男子の「枝」に見る“価値”の本質 「価値」とは一体なんだろう。子供の頃に夢中になったガラクタも、バズワードになっている「NFT(非代替性トークン)」も、価値を共有する人がいるからこそ“価値”が生まれるのでは。“小5男子”の行動や落語「茶金」のエピソードから、価値の本質をひもといてみる。 -
- 第134回
- 2022.06.10
香りなきメタバース 「匂い」は物理空間のキラーコンテンツ? 人間の体は多様な振る舞いで情報を発信し、多様な感覚により他者の意思や感情を読み取る。視線や声色、体のちょっとした動きなどは、オンラインで再現できるようになりつつある。また、そのような技術の成熟がVR(仮想現実)を基盤としたメタバースへの関心を高めている。一方で、オンラインでは再現できない感覚の一つが「匂い」だ。匂いの再現はさまざまなチャレンジが行われているが極めて難しい。 -
- 第133回
- 2022.06.03
ハートを射抜く“握手会の女王”はメタバースでも女王になれるか コンサートや握手会、ファンイベント……。ファンとのコミュニケーションを重視するアイドル活動は、メタバース空間でどう実現されるべきか。手を握るだけで多くのファンを虜(とりこ)にし、「握手会の女王」と呼ばれる須田亜香里氏(SKE48)にさまざまな意見を聞いた。 -
- 第132回
- 2022.05.27
「恩恵を受ける人」と「対価を負担する人」に“ズレ”はあるか 19世紀半ばに進んだ工業化で、穀類を製粉する場所は家庭から工場に移った。それまでは金持ちしか得られなかった小麦からつくられた白い粉が安い値段で手に入るようになったが、家庭にいる主婦の負担は実は増加したという。「受益者」と「負担者」のバランスがいかに重要かということは、任天堂「Wii」の開発エピソードからも見えてくる。 -
- 第131回
- 2022.05.20
組織を疲弊させる“股裂き”を防ぐパーパスの重要性とは 企業にとっての「パーパス」がなぜ大切なのか。それは、パーパスがないと組織が“股裂き”の状態となり、辻つま合わせの意思決定に疲弊し、前向きな意思決定をするスピードが遅くなってしまうからだ。企業の成り立ちを踏まえて、パーパスの重要性を改めて考えたい。