
明日の話題に使えるIT小話
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- 第157回
- 2023.01.27
事業者失踪のサービスはどうなったか 相互運用性の確保を考える クラウド連動型のコンテンツは、事業者がサービスを停止するとコンテンツが見られなくなる。企業が敷いた独自の仕組みは、その仕組みが機能しなくなった際に、見直しに大幅なコストがかかることがある。あらゆる機能は永続的ではないことを念頭に置いた、サービス開発が求められる。 -
- 第156回
- 2023.01.20
決済以上の価値を持つオーストラリアの硬貨 人手を渡り寄付を促す 王立オーストラリア造幣局は、「Donation Dollar」を発行している。この硬貨はただの1ドルではなく、名称の通り、その硬貨を受け取った人に寄付を呼びかける意味合いも持つ。この取り組みは、デジタル価値の流通とも相性がいいのではないだろうか。 -
- 第155回
- 2022.12.02
ブロックチェーン上の新概念「SBT」とは 信頼関係を可視化する? 価値の流通を促す基盤であるブロックチェーン。ブロックチェーンコミュニティーで近年議論が盛り上がっているのが、「SBT(ソウル・バウンド・トークン)」という新概念だ。例えば「信頼関係」や「栄誉」など、譲渡できない価値を取り扱うこの仕組み。概要と、SBTの流通によって想定される未来を聞いた。 -
- 第154回
- 2022.11.25
製品スケールと個人ニーズ 「ソフトウエアのスタッフ」が両立? できるだけ1つの製品をスケールさせたいメーカーと、自分の生活や好みにぴったり合った製品を求める顧客。両者の溝を埋めるのは、「ソフトウエアのスタッフ」かもしれない。 -
- 第153回
- 2022.11.11
コネクテッドが可能にする「ケ(日常)」のコミュニケーション 「買った後」も顧客のロイヤルティーを保てるコミュニケーションとは、どのようなものだろうか。製品のネットワーク接続が可能になり、企業がコネクテッド由来の顧客データを得られるようになった今、新しいアプローチでのコミュニケーションが考えられるだろう。 -
- 第152回
- 2022.11.04
空腹具合に残りの体力…… 顧客の「与信枠」を見極めよ なにかしらの活動をするときには、資源が必要になる。それは物的リソースかもしれないし、時間や自分の体力も資源と捉えることができる。例えば動画を見るとき、料理をするとき、私たちはそうした資源の残り具合を鑑みて、どのように行動するかを判断する。日常生活の中でも私たちは「与信枠」を無意識のうちに設定しているということだろう。 -
- 第151回
- 2022.10.21
JALとドコモがタッグ 新技術でデータの活用と保護を両立 JALグループとNTTドコモが、新技術「秘匿クロス統計」を用いた実証実験を2022年11月1日から開始する。この実験、企業のデータ活用を大きく進歩させうる世界的にも先進的な事例だ。プライバシー保護のため、企業横断でのデータ活用は容易ではない。しかし、秘匿クロス統計を用いることで、プライバシーを保護しながら、2社それぞれが持つデータから統計情報を作成できる。それにより得られた新しい知見を活用することで、社会課題の解決や顧客体験価値の向上が実現できる。プライバシー保護のレベルを上げるほど、データ活用の範囲が狭まるというトレードオフの関係をよい方向に崩し、より有効にデータを活用したい──。本取り組みはその実現に向けた、注目すべき事例だ。 -
- 第150回
- 2022.10.21
馬は死ぬが、鞍は残る 現代の「代替不可能な価値」とは? 自社が提供する価値のうち何がユーザーにとって代替可能か、はたまた不可能か、事業者は見定めることが必要だ。現代において代替不可能な価値としては、データ、ブランド、コミュニティーの3つがまず挙げられるだろう。 -
- 第149回
- 2022.10.14
同意は納得ではない! そのボタンがロイヤルティーをむしばむ ユーザー登録やサービス利用開始時に出てくる、パーソナルデータの利用に「同意する」ボタン。ついボタンを押してしまいがちだが、「納得」の上「同意」しているわけではないことも、ままあるだろう。こうしたしぶしぶの同意を生み出すシステムは、ユーザーのロイヤルティーに悪影響を及ぼすことにもつながりかねない。 -
- 第148回
- 2022.10.07
円滑な合意形成を 「耳のシャッター」を開けるデジタルツール ある施策が根拠に基づいた「正しい」ものであるからといって、その施策が納得して受け入れられるとは限らない。合意形成のためには丁寧なプロセスが求められるが、そこには膨大な事務的作業も付随する。そうした手間を解決することで、人間同士の対話を円滑にすることは、デジタルの真骨頂だろう。 -
- 第147回
- 2022.09.30
アメリカの人工妊娠中絶の判断で見直される、「健全な」データ流通 人工妊娠中絶に関する米連邦最高裁の判断が、位置データやヘルスケアデータをはじめとした、米国のデータ流通に大きく影響を及ぼしている。健全なデータ流通を実現するために、あらゆる場面でのデータ保護の見直しが今後必要となるだろう。 -
- 第146回
- 2022.09.16
スマホ連係の信号機システム 視覚を補完するテクノロジー 視覚障害者にスマホからの音声や振動で信号機の状態を伝えたり、ドアの開閉状態を伝えたりするなどの、新システムが生まれている。こうした人間の能力を補完・拡張するものがテクノロジーによって実現されつつある。 -
- 第145回
- 2022.09.09
「花屋の嘘」が心をわしづかみ? “共有”が顧客との関係をつくる モノや行動、気持ちを「共有」することによって、人と人との関係はつくられる。こうした考え方は、事業者と顧客の間にもいえることではないか。特に、事業者が一方的に情報や製品を提供するという旧来型のモデルから、コミュニティーづくりのような横のつながりが重視されるようになった近年においては、なおさらだ。 -
- 第144回
- 2022.09.02
LTVは社内で方言になっている? 今こそ「ファン会計」が必要か LTV(顧客生涯価値)やNPS(顧客推奨度)、顧客ロイヤルティーは、マーケターが考慮すべき重要な指標だ。しかし社内で別業務に携わる人たちは、それらのワードを特段重要性を持たないものとして認識している可能性がある。そこで、企業の共通言語である「会計書類」に当てはめて、それら指標の事業への必要性を見直すのはどうだろう。 -
- 第143回
- 2022.08.26
60年前の“マーケの古典”に学ぶ 「消費者の系列化」とは何か 「特定企業のファン、すなわち固定客をつくりあげていくことは、マーケティングの、否、企業活動の最終目的として設定されるべき最重要問題なのではあるまいか」。この文言だけ切り抜くと、日経クロストレンドの記事からの引用にも見える。「ファンマーケティング」とか「LTV(顧客生涯価値)」に関する記事の締め言葉になりそうなメッセージだ。しかし実際には違う。これは約60年前、1964年に日本マーケティング研究所の小嶋庸靖氏らにより執筆された本の中の一節だ。この本のタイトルがとてもいい。「消費者の系列化」という。 -
- 第142回
- 2022.08.19
DXの味方を増やせ IT活用による業務改善が生み出す効能とは 組織の中で日々回る業務。問題が何もないわけではないが機能している。そんな仕組みを変えることをためらう気持ちはよく分かる。また、非効率だろうが、時代遅れだろうが、その業務に慣れて愛着を持っている担当者が間違いなく存在している。その人の心情を無視して仕事の仕方を変えようとすると痛い目にあう。 -
- 第141回
- 2022.08.05
なぜ松葉やビスケットを入れるのか 心意気を伝えるセンサーの力 箱を開けると、真っ白なまんじゅうの上に鮮やかな緑色をした松の葉が置いてある。何のために松の葉を入れているのか。まんじゅうが白いので彩りのためだろうか。確かにそのコントラストも美しいが、松の葉を入れた一番の目的は賞味期限を確認することにあった。 -
- 第140回
- 2022.07.29
「いいね!」ボタンは信頼を育む“チャレンジコイン”になれるか 米軍から広まった「チャレンジコイン」など、ゆるやかなつながりをつくるさまざまな形がある。デジタル時代において、商品やサービス、コンテンツなどに“星”を付けて評価したり、「いいね!」ボタンを押したりする仕組みが当たり前になってきているが、それらはつながりをつくる仕組みとして機能しているだろうか。 -
- 第139回
- 2022.07.22
VR時代のコミュニケーション 「気が利く」「気持ち悪い」の境界 VR(仮想現実)の世界なら、自分の姿を変えることはもちろん、相手への視線や振る舞いまでも簡単に変えることができる。それによりコミュニケーションは円滑になるが、一線を越えてしまうとネガティブな印象を与えかねない。人と人とのコミュニケーションにおける「気が利く」と「気持ち悪い」の境界線はどこにあるのか。 -
- 第138回
- 2022.07.15
ソニー「メタバースハンド」が目指す未来 遠隔地の人と“握手” 遠隔地にいる人の手の動きを再現し、“握手”ができる「メタバースハンド」。ソニーの有志が開発しているロボットハンドは、テクノロジーを駆使し、アーティストとファンの間で行われる体験をより豊かなものにしたいという目的から生まれた。 -
- 第137回
- 2022.07.08
今必要なのは、コミュニケーションを補う“お見合いおばさん”だ 「面と向かって言うと角が立つ」「パワハラ・セクハラと感じられたらどうしよう」など、仕事やプライベートにおいて意見や質問をすることに気が引けてしまうシーンはよくある。そんなときに役立つのが、人と人との間に立ってコミュニケーションを円滑にする“お見合いおばさん”のような存在だ。 -
- 第136回
- 2022.07.01
知っておくべき、“まじめで不器用”な「AI社員」との働き方 AI(人工知能)は例えるならば、仕事は早いが融通が利かない社員だ。業務との相性がよければ目にも留まらぬスピードで仕事をこなすが、「愚直で頑固」なため、人間が適切に指示出しをする必要がある。人類の仕事を奪う存在として恐れられてもいるAIの特性をビジネスで生かすためにはどうすればいいのだろうか。 -
- 第135回
- 2022.06.17
そのNFTはいかほどか? 小5男子の「枝」に見る“価値”の本質 「価値」とは一体なんだろう。子供の頃に夢中になったガラクタも、バズワードになっている「NFT(非代替性トークン)」も、価値を共有する人がいるからこそ“価値”が生まれるのでは。“小5男子”の行動や落語「茶金」のエピソードから、価値の本質をひもといてみる。 -
- 第134回
- 2022.06.10
香りなきメタバース 「匂い」は物理空間のキラーコンテンツ? 人間の体は多様な振る舞いで情報を発信し、多様な感覚により他者の意思や感情を読み取る。視線や声色、体のちょっとした動きなどは、オンラインで再現できるようになりつつある。また、そのような技術の成熟がVR(仮想現実)を基盤としたメタバースへの関心を高めている。一方で、オンラインでは再現できない感覚の一つが「匂い」だ。匂いの再現はさまざまなチャレンジが行われているが極めて難しい。 -
- 第133回
- 2022.06.03
ハートを射抜く“握手会の女王”はメタバースでも女王になれるか コンサートや握手会、ファンイベント……。ファンとのコミュニケーションを重視するアイドル活動は、メタバース空間でどう実現されるべきか。手を握るだけで多くのファンを虜(とりこ)にし、「握手会の女王」と呼ばれる須田亜香里氏(SKE48)にさまざまな意見を聞いた。 -
- 第132回
- 2022.05.27
「恩恵を受ける人」と「対価を負担する人」に“ズレ”はあるか 19世紀半ばに進んだ工業化で、穀類を製粉する場所は家庭から工場に移った。それまでは金持ちしか得られなかった小麦からつくられた白い粉が安い値段で手に入るようになったが、家庭にいる主婦の負担は実は増加したという。「受益者」と「負担者」のバランスがいかに重要かということは、任天堂「Wii」の開発エピソードからも見えてくる。 -
- 第131回
- 2022.05.20
組織を疲弊させる“股裂き”を防ぐパーパスの重要性とは 企業にとっての「パーパス」がなぜ大切なのか。それは、パーパスがないと組織が“股裂き”の状態となり、辻つま合わせの意思決定に疲弊し、前向きな意思決定をするスピードが遅くなってしまうからだ。企業の成り立ちを踏まえて、パーパスの重要性を改めて考えたい。 -
- 第130回
- 2022.05.13
顧客の人数や獲得コストを自ら開示 不利なデータを出すワケは 米国のD2C眼鏡販売スタートアップの「ワービーパーカー」は、アクティブカスタマーの数をアニュアルリポート(年次報告書)で開示している。例えば、顧客獲得のために要した費用の詳細な内訳など、顧客基盤に関する生々しい情報は競争相手に知られたくない数値でもある。しかし、それらを社内だけの管理指標とするのではなく外部に情報開示すると、さまざまなメリットを生み出すきっかけになるかもしれない。 -
- 第129回
- 2022.04.22
データ利他主義と献血 パーソナルデータをどのように集めるか 同意なきパーソナルデータの収集と活用を禁じている欧州連合(EU)で注目されているのが、公益心に基づく自発的なデータ開示である「データ利他主義(Data Altruism)」という考え方だ。パーソナルデータをどのように集め、社会で活用していくか。献血の歴史をひもとくと、データを収集・活用しようとする企業・自治体が学ぶべきことが見えてくる。 -
- 第128回
- 2022.04.15
パーソナルデータ提供に同意しますか? 自己決定の6段階とは あなたはなぜ働くのか? 「面白いから」? あるいは「やらなければならないから」? それとも「やらないと叱られるから」? 自己決定することが高いパフォーマンスをもたらすとする「自己決定理論」。これをパーソナルデータ提供の話と絡めて考えてみるといろいろと発見がある。「高い自己決定レベルで同意をしている顧客」と「良い顧客」に関連が見つかると面白いことになりそうだ。 -
- 第127回
- 2022.04.08
プレステ5のSSD容量はなぜ少なめなのか? ドリルと穴と意思決定 セオドア・レビットが「ドリルと穴」について説いたのは半世紀以上前の1968年。現在では大量のデータにより「穴」そのものに深く関係する情報を収集できるような時代になったが、それが意思決定のプロセスに生かされているだろうか。「プレイステーション5」のスペックを決定した理由をひもとくと、さまざまなものが見えてくる。 -
- 第126回
- 2022.04.01
「気が利く」と「余計なお世話」 紙一重の差はどこから生まれる 商品やサービスの提供側が気を利かせたつもりの機能でも、場合によってはユーザーに「余計なお世話」と思われてしまうことがある。「気が利く」と「余計なお世話」のすれ違いはなぜ生じるのか。「家事」についての論考からそのヒントが見えてきそうだ。 -
- 第125回
- 2022.03.25
ブロックチェーンは蒸気機関!? 社会を革新する基盤技術の未来 産業革命の基盤となった蒸気機関のそもそもの用途は、実は炭鉱における揚水ポンプだった。それがいかにして長い時間をかけて社会全体へと波及し、革命を起こしたのか。同様に、ウェブなどに代表される現代の基盤技術が今後どのように展開して社会を変えていくかを想像してみるのもおもしろい。 -
- 第124回
- 2022.03.18
水位の上昇で保険金が下りる? 変数に基づくパラメトリック保険 「水位が○メートルになったら」「降水量が規定を下回ったら」など、さまざまな“変数”に基づいて保険金が支払われるのが「パラメトリック保険」だ。一般的な保険は、損害や被害の規模を調査するのに時間がかかる。「今すぐ資金が必要」というニーズに応えられるパラメトリック保険は自然現象以外にも広がりを見せている。 -
- 第123回
- 2022.03.11
街を走るデジタル路面電車は“地上の人工衛星”になるか 車や歩行者と一緒に街並みを走行するトラム(路面電車)が高度化しつつある。イスラエルやイタリアのトラムは、各種のセンサーやアルゴリズムを駆使し、スムーズな運行を実現。所要時間の短縮や利用者増加につなげている。センサーを搭載し、定期的に街を巡回するトラムの役割を進化させれば、様々な用途に応用できそうだ。 -
- 第122回
- 2022.02.25
キリンを飼うならメタバース 脱炭素時代の娯楽かディストピアか 「脱炭素」が叫ばれる今の時代、車や飛行機での移動や豪華で広い家などは、環境負荷の観点から“ぜいたく品”にもなりかねない。だが、バズワードとして注目される「メタバース」は、そうしたプレッシャーと無縁になれる場所でもある。バーチャル空間に作った広大な庭でキリンを飼い、膨大な電子書籍コレクションで漫画を読みふける。環境負荷が低いメタバースが、人々にとって娯楽の場となる可能性もありそうだ。 -
- 第121回
- 2022.02.18
普段使わないのなら他に融通 効率を高める「資源の動的配置」 利用が急拡大した携帯電話の電波資源は逼迫している。そこで、普段は利用していない周波数帯の電波を動的に割り振る方法が検討されている。用途を一度決めたらなかなか変えない「静的」な割り振りを時間帯やエリアによって動的に適用するという考えは、さまざまな分野で応用できそうだ。 -
- 第120回
- 2022.02.04
ピクミンブルームの課金のツボ “頑張り”の可視化が価値になる 課金するほどハマっている「ピクミンブルーム」。実際の歩数が反映される位置情報ゲームだが、自身のキャラクターを武器などで強化するための課金ではなく、これから歩く“機会”に対して金を支払うという仕組みが面白い。ゲームだけでなく、ダイエットなど、似たような発想の取り組みは色々ありそうだ。 -
- 第119回
- 2022.01.28
AIが組織から知恵を奪う? “忘却”を防ぐオープンソース的発想 組織内のリソースを「本当に大事なこと」に集中させるため、それ以外の仕事をAI(人工知能)に任せたり、外部に発注したりすることはよくある。しかし、それは人が育つ機会を奪うだけでなく、知識のブラックボックスを生み出し、いつの間にか組織から知恵を奪うことにもつながりかねない。そうした事態への対応策として参考になるのが「オープンソース」の考え方だ。 -
- 第118回
- 2022.01.21
カスタマーサクセスに通じる 医師と患者で行う「SDM」の考え方 医療における意思決定といえば「インフォームドコンセント」につきると思っていたが、「SDM(Shared Decision Making)」という考え方もあるということを知って驚いた。このSDMという考え方は、医療以外の領域についても関係しそうな話であるため紹介したい。